- 2005年7月12日
- 国・地域:スーダン
- トピック:地域紛争
アムネスティは、さらに次のように付け加えた。すなわち、このことは、スーダン政府はダルフールにおける紛争下でおきた戦争犯罪の嫌疑について、国際刑事裁判所よりも国内手続にゆだねようとするべきではないという根拠を示したことにもなる。
「犯罪に責任を持つと疑われる者が政府のどの地位を占めるにしても、世界でもっとも深刻な紛争のひとつであり、数万というスーダンの人々が甚大な人権侵害の犠牲者となっている状況下において、新しい暫定憲法が、決して免責されるべきではない戦争犯罪や人道に対する罪のような国際的な犯罪を無視するということは、極めて深刻な問題である」と、アムネスティのアフリカ・プログラム部長であるコラウォレ・オラニヤンは語った。
「アムネスティは、新憲法のいくつかの人権条項、とりわけ女性と子どもの権利についてより一層強調されている点については歓迎しているが、多くの犯罪に対して訴追からの免責特権を認めていることを非常に懸念している」
暫定憲法の第60条は、スーダンの大統領および第一副大統領について、深刻な反逆罪、国政に関連する重大な失敗、憲法に対する重大な違反を除いては免責特権を与えている。また、訴追可能な場合も、議会の4分の3以上の承認がなければ被疑者を起訴することができない。また、議員に対しても、第92条により、同様の免責特権が与えられている。いずれの条項でも、免責特権の制限に関する国際基準はまったく参照されていない。
「ダルフールでの国際法上の犯罪について政府高官の名前が誰も挙がっていないにせよ、新憲法の条項は、ダルフール問題に対応するために最近設置された国内特別法廷が、国際刑事裁判所に替わる適切なものであるというスーダン政府の主張に重要な疑問を投げかけている」と、コラウォレ・オラニヤンは語った。
「短期的には、国際法上の犯罪を免責特権の適用範囲から排除しないことで、暫定憲法は、政府高官に対する不処罰を謳う危険を伴っている。高官たちが訴追される可能性があるのは、政府が免責特権を剥奪することができる犯罪に限られてしまうのである。」
アムネスティ・インターナショナルはまた、新憲法の第33条が、残虐で非人道的もしくは品位を傷つけるような取り扱いを禁止する一方、刑罰についてはそれが禁止されず限定的になっていることを憂慮している。草案は、国際基準に則って、「残虐で非人道的もしくは品位を傷つけるような取り扱いまたは刑罰」が禁止されていた。最終草案から「刑罰」が削除されたことは、鞭打ちや手足の切断といった刑罰の可能性を残している。これは、スーダン政府が遵守する義務を持つ、市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)第7条と子どもの権利と福祉に関するアフリカ憲章の重大な違反である。
背景情報
アムネスティ・インターナショナルは、2005年5月、国家憲法評価委員会に対する覚え書きを発表し、憲法の草案に対して勧告した。
詳細については、下記をご覧下さい。
http://web.amnesty.org/pages/sdn-index-eng
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年7月6日)
AI Index: AFR54/066/2005
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