- 2005年12月20日
- 国・地域:イラン
- トピック:死刑廃止
20歳のアフガン人、ロスタム・タジク氏は、皮肉なことに12月10日の国連人権デーにイスファハンで公開処刑された。タジク氏は16歳だった2001年5月にナフィサ・ラフィさんという女性を殺害した罪で、イスファハン一般法廷の第9支部でキサース(同害報復)刑の判決を受けたという。最高裁もこの判決を支持した。
イランの新聞「ケイハン」によると、タジク氏は被害者の夫の弟子だった。被害宅に強盗に入ってナフィサさんを殺害した後、夫妻の11歳の長女ののどを切ったが、叫び声を聞いた隣人が駆けつけ病院に運んだため、長女は一命をとりとめた。タジク氏はテヘラン西部のカスビンに逃げたが、後に逮捕された。
超法規的、即決または恣意的処刑に関する国連人権委員会特別報告者のフィリップ・アルストン氏は12月9日、イラン当局に対し処刑をしないよう求めていた。
アルストン氏は「実質的には世界中の他のすべての国が、子どもの犯罪に対して死刑を適用しないときっぱりと決めている中で、イランのしようとしていることは容認しがたい。犯行時に未成年だった者を死刑にしない義務があることは明白かつ疑いようもないものであるだけでなく、イラン政府自身が子どもを死刑しないと宣言しているにもかかわらず、このような処刑が行なわれようとしていることに驚きを覚える。」
イランは自由権規約や子どもの権利条約の締約国であり、犯行時18歳未満だった者に対して死刑を適用しない義務がある。
にもかかわらず、イランは今年に入って少なくとも8人の未成年犯罪者を処刑した。
そのうち2人は処刑された時にまだ18歳になっていなかった。子どもの権利条約締約国の条約履行状況を監視する国連子どもの権利委員会は2005年1月、イランに対して、18歳未満の時の犯罪で有罪判決を受けた者に対するすべての死刑執行を即時停止し、未成年犯罪者に対する死刑を廃止するよう要請した。
子どもの権利委員会は、イランが子どもの権利条約を批准しているにもかかわらず未成年犯罪者を処刑し続けていることを非難した。同委員会がイランの第二回定期報告書を審査していたその同じ日に、17歳の時の犯罪でイマン・ファロヒ氏が処刑された。
18歳未満の時の犯罪への死刑適用を禁止する法案は、すでに4年間も審議されているが、まだ成立していない。イラン政府高官は殺人罪(刑罰はキサース刑)とその他の死刑相当犯罪を区別しており、もしも法案が成立しても、未成年犯罪者への死刑がすべてできなくなるわけではないとしている。アムネスティはイラン政府に対し、18歳未満の者の犯罪については、殺人も含めていかなる犯罪によっても死刑判決を受けないように保障する措置を緊急にとるように求める。
12月に入ってからイランで処刑された人は少なくともほかに5人いる。
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年12月13日)
AI Index: MDE 13/078/2005
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