イラン:ヒジャブをめぐる女性抑圧 国際社会は行動を

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2023年8月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イラン
トピック:女性の権利

イラン政府は、公共の場で義務付けられているヒジャブ(頭髪を覆う布)を着用しない女性への取り締まりを強化している。7月16日には、女性のヒジャブ着用を監視するパトロールを復活させると発表し、ヒジャブを着用しない女性に法的措置も辞さないと脅しをかけた。

警察当局は、車の運転中にヒジャブを着用していなかった女性100万人以上にテキストメッセージを送信し、車を没収する可能性があると警告した。また、多数の女子学生が、大学から停学か除籍の処分を受け、卒業試験の受験ができなくなり、さらに銀行や公共交通機関の利用を禁止された。

昨今の取り締まり強化の背景には、監視技術の向上で街頭の車や歩行者がヒジャブを着用しているか否かを容易に判別できるようになったことがある。

取り締まりの強化で、女性のプライバシーや表現、宗教、信条の自由などが無視されていることがあらためて浮き彫りになった。また、数十年にわたる抑圧と不平等に抗議し、「女性、命、自由」を唱えて立ち上がった女性に対して、当局がその支配力や権力の誇示に躍起になっていることも明らかだった。

6月14日の警察発表によると、4月15日以降、警察は車内でヒジャブを着けていなかったおよそ100万人の女性に警告メッセージを送信し、133,174人に一定期間、車の利用を禁じると通告した。また、2000台の車を没収し、4000人以上の「常習犯」を裁判所に送致した。

取り締まりの強化と法制化を目論む司法など関係当局は5月21日、「純潔とヒジャブの文化を支える法案」を議会に提出した。同法案が成立すると、公共の場やソーシャルメディアでヒジャブを着用しなかった場合、罰金、車や携帯電話の没収、運転の禁止、給与の減額、手当の減額、解雇、銀行口座利用の禁止などの罰則が科される。

法案では、ヒジャブ法に組織的に違反した場合、あるいは外国の情報機関などと共謀して同法に違反した場合、2年から5年の実刑と渡航禁止、特定の場所での居住などが科される。公的団体や民間企業が社内で従業員や顧客のヒジャブの不着用を許した場合、事業所の閉所、幹部の拘禁刑や出国禁止などの処罰を受ける。また、同法案に違反したアスリートやアーティスト、著名人らには、出場や出演の禁止、実刑、むち打ち刑、罰金刑などが科される。

イラン当局は、ヒジャブ着用の義務を廃止し、ヒジャブ不着用による有罪判決をすべて破棄し、被告人の容疑を取り消し、拘禁されている人たちを釈放すべきだ。また、当局は、女性の平等、プライバシー、表現の自由、思想信条の自由の権利などを行使して拘束されている女性も釈放すべきだ。

イラン当局が女性への締め付けを強化しているとき、国際社会は見て見ぬふりをしてはならない。各国は、公式声明や外交上の働きかけにとどまらず、ヒジャブ着用の義務化を主導し、広範で組織的な女性の人権侵害に関わったイラン当局者の責任を追求する法的措置を取る必要がある。

すべての国は、ジェンダーに基づく迫害や深刻な人権侵害に直面するイラン女性の支援に手を尽くすべきだ。また、女性たちが速やかに庇護手続きを取れるようにし、いかなる場合もイランに強制送還されるようなことがあってはならない。

アムネスティ国際ニュース
2023年7月26日

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