スーダン:和平協定締結から5ヵ月、悪化するダルフールの人権状況

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2006年10月20日
国・地域:スーダン
トピック:地域紛争
ダルフール和平協定(DPA)が締結されたにもかかわらず、スーダンでは、戦闘、強制移住が増え、政情不安が広がっている。アフリカ連合スーダン派遣団(AMIS)は民間人を守ることができずにいる。そのため、アムネスティ・インターナショナルは、スーダンに対し再度、民間人を守るための国連平和維持軍配備に直ちに同意するよう求めた。本日発表されたアムネスティの報告書「スーダン:安全をもとめる悲痛な声」では、悪化するダルフールの人権状況の暗い実態を描き出している。

スーダン政府は最近、北ダルフールにおいて、ここ一年で最大の軍事攻撃を開始した。空爆が大規模に行われている。無差別かつ過剰な攻撃や市民への直接攻撃など、攻撃は国際人道法に著しく違反している。7月29日のアル・ハッサンのように、診療所や学校もしばしば攻撃の対象となっているようだ。アル・ファシェルの北東サヤー近くのクサクルナで9月27日に起こった攻撃では、ハリマ・イッサ・アバケルとその2人の姉妹、マリアムとハワ・イスハク・オマールの3人の女性が亡くなった。

報告書では、ジャンジャウィドがどのようにして西ダルフールの大部分をほぼ完全に支配し、2003年と2004年の大規模な強制移住で人口が少なくなったこの地を徐々に占領しているかが明らかにされている。スーダン政府軍とジャンジャウィドによる不法な殺害、強制移住、誘拐、強かんがまかりとおるいっぽう、強制的に移住させられた人びとは、避難民キャンプで事実上の囚人として生活している。

西ダルフール、トムフォガ出身のあるマサリトの男性はこう語る「ジャンジャウィドはおれたちを家から追い出した。やつらはまだあそこにいて、おれたちを待ち受けているんだ。もし男が野原に行ったら、殴られる。それが女なら、女に対して考えられるあらゆる暴力をふるうんだ。」

紛争はチャド東部まで広がっている。ジャンジャウィドによるチャドの民間人に対する攻撃は、2005年後半から国境を直接越えて行われており、いまだに続いている。攻撃にさらされた地域集落は、スーダン政府に反対するダルフール武装勢力とつながりを持ちはじめ、武装勢力は地域の集落から兵士を集めている。民間人への攻撃を終わらせ、紛争の拡大を防ぐには、越境攻撃をただちに止めさせなければならない。

アムネスティがチャド東部でインタビューした多くのダルフール難民が証言するように、AMISは市民を保護できずにいる。派遣団はスーダン政府とジャンジャウィド軍の攻撃を阻止できないだけでなく、委任された停戦違反調査もできていない。過去の度重なる失敗のせいで、ダルフールの人びとは、派遣団への信頼をなくし、国連に保護してもらうことを期待している。

報告書に載っている別の難民は、チャドでアムネスティ代表団に次のように語っている。
「アフリカ連合(AU)はIDPキャンプにもモルネイにもいない。でも、時々用事があると町までやってくる。AUが町にいるときはジャンジャウィドは攻撃してこない。AUは私たちのような避難民には興味がない。私たちが文句を言ってもなにもしてくれない。キャンプの隣で女の子たちが強かんされても、AUがすることといえば、その子たちをキャンプまで連れ帰ってくるくらいのこと。調査なんてやってはくれない。」

ダルフールの人びとはダルフール紛争が続く中、計り知れないほどの被害にあった。アムネスティは、国連安全保障理事会のメンバーおよびアフリカ連合に対し、スーダンの国連平和維持部隊配備へ同意をとりつけ、配備までの間市民を守ることができるようAMISを強化することを求めている。

アムネスティは、スーダン政府に、以下を求める。
-安全保障理事会の決議1706に基づくダルフールへの国連平和維持部隊配備に同意すること。
-国連平和維持部隊の配備までAMISがダルフールでの任務を継続できるよう許可すること。
-現在の軍事攻撃におけるあらゆる国際的な人権と人道法の違反行為を中止すること。

アムネスティ・インターナショナルは、国民救済戦線(NRF)の武装集団に対し、以下を求める。
-ダルフールの民間人の中に自分たちの部隊を展開しないなど、国際人道法に違反しないことを保証するすべての必要な手段をとること。

アムネスティ・インターナショナルは、国連安保理とアフリカ連合に対し、以下を求める。
-国連平和維持部隊の配備に対するスーダンの同意を取り付けること。
-国連平和維持部隊への引き継ぎがされるまで、市民を保護する責務を果たすことができるようAMISを強化すること。

AI Index: AFR 54/059/2006 (Public)
2006年10月5日

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