- 2006年12月23日
- 国・地域:リビア
- トピック:死刑廃止
アムネスティの中東・北アフリカ部のマルコム・スマート部長は次のように述べた。「私たちはこの判決を遺憾に思い、死刑が絶対に執行されないと即刻宣言するようリビア当局に求める。死刑は残虐、非人道的かつ品位を傷つける究極の刑罰であり、さらにこのケースでは、非常に不公正な裁判によって言い渡されている」。
「この6人がリビアの裁判所で死刑判決を受けるのは2度目である。今回の裁判では、前回と同様に、不利な証拠として自白が利用されているが、6人は、この自白は拷問によって引き出されたものであると繰り返し主張している。被告人側の弁護人らは国外の専門家の意見を用いることを許されなかった。リビアの医学の専門家が提出した証拠は国外の医学の専門家から疑問視された」。
「真実を解明し、HIVに感染した子どもたちとその親に正義をもたらすことができるのは、公正な裁判のみである」。
死刑判決は最高裁で再審理され、最高評議会で承認されなければならない。その後は、6人に残された可能性は恩赦のみとなる。
背景
6人は1999年から拘禁されている。彼らは当初、ベンガジのアル・ファテー小児病院で426人の子どもたちを故意にHIVに感染させたことで有罪となり、2004年5月に銃殺刑の宣告を受けた。2005年12月25日、最高裁はこの死刑判決を覆し、逮捕および取調べに「不正」があったとして再審を命じた。再審は2006年5月11日に開始された。
6人が拘禁されてから、HIVに感染した426人の子どもたちのうち、52人がエイズで死亡した。
最初の裁判は非常に不公正で、医療関係者や人権団体の間に懸念が広がった。エイズの専門家は、HIVへの大量感染の原因は、病院の衛生状態が悪いことと注射器の再利用であると法廷で証言した。
6人は最初、罪を「自白」したが、後にこれを撤回した。2度の裁判を通じて6人は容疑を否認し、「自白」は裁判前の拘禁中に拷問によって引き出されたものであると繰り返し証言した。彼らは、2004年2月に面会したアムネスティ代表団に対し、電気ショック、殴打、両腕で吊るされるなどの拷問を受けたと語った。また6人は、警察官8人、軍医1人、通訳1人に対して、拷問に加担したとして民事訴訟を起こした。2005年6月、トリポリの裁判所はこの10人全員を無罪として釈放したが、アムネスティはこの裁判手続に不正があったと考えている。
アムネスティはここ数年間、このケースについてリビア当局に繰り返し懸念を表明し、2004年2月の最初の裁判の審理には代表団が出席した。
AI Index: MDE 19/007/2006
2006年12月19日
関連ニュースリリース
- 2024年11月21日 [国際事務局発表ニュース]
リビア:「道徳」名の下でのベール着用強制をやめよ - 2023年10月 4日 [国際事務局発表ニュース]
リビア:メディア規制の解除と洪水被害者の救援を急げ - 2021年7月22日 [国際事務局発表ニュース]
リビア:難民・移民に対する虐待 容認するEU - 2019年8月22日 [国際事務局発表ニュース]
リビア:女性議員を拉致 気になる安否 - 2019年7月11日 [国際事務局発表ニュース]
リビア:移民収容所の空爆 戦争犯罪のおそれ