スリランカ:子どもの徴兵停止の誓約遵守をLTTEに呼びかける

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2007年7月10日
国・地域:スリランカ
トピック:子ども兵士
2007年6月18日、「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)は135人の子ども兵士を解放し、年末までに18歳未満のすべての子ども兵士を部隊から解放すると誓約した。アムネスティ・インターナショナルは、今回の子ども兵士の解放と、LTTEが子どもの徴兵停止を誓約したことを歓迎する。LTTEは、ただちに残っているすべての子ども兵士を家族のもとに返し、残った子どもたちと家族を再会させるためのユニセフによる透明な手続に参加しなければならない。

ユニセフによれば、LTTEによる子どもの徴兵は激減しており、最近部隊から解放された子どもの数は新規徴兵を上回っている。にもかかわらず、いまだに多くの子どもがLTTE部隊にとどまっている。未成年の兵士の解放についてLTTEと直接交渉したユニセフは、2007年5月末 の時点で、すくなくとも1,591人が兵士として留まっていると述べた。このうち18歳未満の兵士が506人、18歳未満で徴兵されたが現在18歳を超えている兵士は1,085人である。

LTTEは、長年、未成年を兵士として徴用してきた。2002年の停戦合意前、高い確率で子どもが死傷する激戦地をはじめとして、LTTEは日常的に先頭に子どもを使用してきた。過去25年の紛争で、スリランカ北部や東部の紛争地域に住む住民たちは、LTTEによる徴兵の標的になってきた。過去、LTTEは支配下にある地域で「1家族1人の子ども」を強要し、各家族は「大義」のために息子や娘を提供しなければならない、とタミル人家庭に指示してきた。子どもを戦闘員として使うことについて、どのような弁解も納得のいく論拠も存在しない。

スリランカ政府とLTTEとの間で停戦合意(CFA)が結ばれ、2002年2月に署名された。その後の和平会議で、両者は、北東部における子どもの人権侵害を報告してこれに取組むべく、UNICEFに対し戦争で被害を受けた子どもたちのための行動計画を起草するよう依頼した。2003年6月、スリランカ政府とLTTEは、この戦争で被害を受けた子どもたちのための行動計画に共同署名した。この行動計画にもとづく誓約には、今後LTTEは自主的か強制的かとを問わず、子ども兵士の徴兵を停止するという条項が含まれている。2004年を通じて、UNICEFは、子どもの徴兵を停止するという誓約をLTTEが守っていないとの報道発表をしている。

昨年、2002年の停戦合意は実質的に崩壊した。2006年、スリランカ政府とLTTE間の戦闘が激化するにつれて、LTTEが大半を支配するジャフナ半島の南部ヴァンニでの徴兵が激増しているとの報告をアムネスティは受け取っている。またアムネスティは、2007年4月、北部での戦闘に備えてマンナ地区のマドゥでは、LTTEが盛んに子どもを徴兵しているとの報告も受けている。国連安全保障理事会の子どもおよび武力紛争に関する作業部会は、2002年12月20日付けのスリランカに関する報告書で次のように指摘している。「過去3年、LTTEからの子どもの解放において限定的な進展しか見られなかった。しかし、子どもの徴兵および使用の完全停止、ユニセフのデータベース上に記載されている子ども全員の解放、さらに解放および武装解除の証明に向けた透明な手続の実施などをLTTEが拒否していることで、かえってLTTEの政治的、軍事的指導部が、そうした対策に乗り出していることが示されている。」

2007年5月、国連安保理子どもおよび武力紛争に関する作業部会は、LTTEが子どもの徴兵を停止しない場合、「さらなる措置がとられる可能性がある」との声明を出した。武力紛争時の子どものための国連特別代表のクマラスワミ氏は、「LTTEは安保理の違反リストに4年も載っている常習犯だが、こうした勧告はLTTEに対して、強力なメッセージを送っている」と付け加えた。

スリランカで子どもを徴兵している政治的武装勢力は、LTTEだけではない。アムネスティは、カルナ派 のような別の武力勢力も、子ども兵士の徴兵に拍車をかけているという信頼すべき情報を得ている。2007年6月11-17期の報告書でスリランカ停戦監視団(SLMM)は、カルナ派が活動している東部の地域において34件の誘拐事例があり、うち16例は未成年だったとしている。UNICEFのスリランカ派遣団代表は、「現時点では、カナル派による徴兵の頻度は、LTTEよりも実質的に頻繁になっている 」と述べている。

戦争において、子どもが果たす役割はない。子どもの徴兵は、戦争犯罪である。LTTEその他のあらゆる武装勢力は子ども兵士の使用を止め、徴兵を直ちに停止し、子どもたちを家族のもとに返すよう、誓約するべきである。

背 景
世界中で50万人以上の18歳未満の子どもたちが、85カ国以上で政府軍、準軍事組織、民兵その他さまざまな非政府系の武装勢力によって徴兵されている。アムネスティは、18歳未満の青年を徴兵して戦闘に配備することを禁止する国家、地域、国際レベルでの法的基準(子どもの権利条約の選択議定書を含む)の採択・遵守の促進をめざしている。アムネスティは、強制徴兵か自主入隊かをとわず、政府や反政府武装勢力による18歳未満の子どもの徴兵に反対する。さらにアムネスティは、メッセンジャーや荷運びなどの支援的役割を始めとして、18歳未満の子どもをいかなる形においても徴兵や軍事訓練、軍に配備することに反対する。

LTTE指導部への勧告
 ・子どもの徴兵を停止するという誓約、および18歳未満の子どもの誘拐、徴兵、使用などの行為を停止するとした誓約を厳守すること。

 ・直接家族のもとに帰還させるために子ども兵士の解放、およびすべての子どもの武装解除の証明に向けて、UNICEFと共に直ちに透明な手続を進めること。

 ・子どもに対する暴力や虐待を停止する目的でUNICEFと協力し、情報を共有すると共に、UNICEF代表が妨害を受けることなくLTTEの軍事キャンプを視察できるようにすること。

AI Index: ASA 37/017/2007
2007年7月10日
 

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