スリランカ:抗議デモへの軍投入をやめよ

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2022年7月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:スリランカ
トピック:

緊急事態宣言下のスリランカの首都コロンボで、抗議する市民が治安部隊による容赦のない弾圧を受けている。政府は、治安部隊の行動に制限を加えるべきだ。また、軍の出動も控えなければならない。

政府の市民の抗議デモへの対応は、軍を出動させ発砲や催涙ガスの使用も認めるなど、激しさを増している。死者も1人出ている。

7月13日の朝、数千人のデモ参加者が首相官邸と議会を目指して行進を始めた。治安部隊との間で怒声が飛び交う中、デモ隊は首相官邸の門を突破し、官邸を占拠した。

治安部隊はデモ参加者や取材中の報道陣に向け何度も催涙ガスを発射したため、何人かは咳き込みながらその場を逃れた。デモに参加していた数十人が負傷し、1人が亡くなったという。

経済危機が長引く中でこの3カ月、コロンボのゴール・フェイスでは抗議デモが続き、ヘリが上空を飛びかった。議会近くであった別のデモでは、80人以上が負傷し病院に運ばれたと伝えられた。

ウィクラマシンハ首相が7月13日にテレビで演説し、「秩序の回復に手段を選ぶな」と軍に発破をかけた。翌日、軍当局が声明を出し、国の法律と秩序を回復するには武力を行使するしかないと警告した。

軍の武力行使を一律に許可する命令は、たとえ緊急事態時でも重大な問題をはらむ。敵と戦うために訓練されている軍隊を、公共の場での集会の取り締まりに投入してはならない。軍や警察にはこれ以上の負傷者や犠牲者を出さないために、節度ある行動が求められている。

デモ参加者の一部が暴徒化したとしても、軍や警察による武力の行使は、限定された状況でやむを得ない場合以外には許されない。

国が深刻な経済危機に直面し抗議デモが拡大する中、政府は国際人権法・基準に沿った対応で事態の鎮静化に努め、市民が食料や物資を最低限でも確保できるよう国を挙げて取り組むべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2022年7月14日

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