ジンバブエ:政府の政策と最前戦で闘う女性たちへの弾圧が激化

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2007年7月25日
国・地域:ジンバブエ
トピック:危機にある個人
本日発表されたアムネスティ・インターナショナルの最新報告書によれば、国内の経済的・社会的危機が渦巻く状況を前にして、ジンバブエの女性たちが政府に対抗する動きを見せる中、彼女たちに対する弾圧が強まっている。

同報告書で、アムネスティは調査団が3週間にわたって同国を訪問して調査した結果を発表した。調査期間中、アムネスティの調査員は、都市部や農村部を含めたジンバブエ各地のあらゆる年齢層の女性数十人に聞き取りを行なった。

「ジンバブエ政府は、経済的・社会的問題という根本問題に取り組むべきなのである。女性たちは、そのために抗議の声を上げざるを得なくなっているのであって、彼女たちを攻撃したり、彼女たちがおこなっている人権擁護のための合法的活動を犯罪化したりするべきではない」アムネスティのアイリーン・カーン事務総長はそのように述べた。

ジンバブエ滞在中、アムネスティは、ジンバブエの人権擁護活動家数百人のうちで多数をしめる女性活動家たちと話をした。彼女たちは、過去2年間に平和的デモや集会に参加したとして恣意的に逮捕・拘禁されてきた人びとである。調査団は、ジンバブエ政府によって権利侵害が繰り返されたために人権擁護活動家となった、多くの女性たちと話をした。

アムネスティが聞き取りを行なった女性の大半は、警察に勾留中に殴打その他の虐待を受けたと語った。中には拷問に相当するケースもあったという。こうした人権侵害の多くは、女性の人格や仕事を貶める性差別的な言語による人権侵害や品位を傷つけるような侮辱などを含んでいる。子どもと一緒に拘禁されたり妊娠中にもかかわらず拘禁されたりした上、国際的な人権基準には遥かに及ばない劣悪な状況下に置かれた。

「激化する政府の弾圧を前にして、ジンバブエの女性たちは信じられないほどの抵抗や勇気、決意を示している。彼女たちは危険を承知で、脅迫に屈してそれに従うことを拒否している」。アイリーン・カーン事務総長はそのように述べた。

女性活動家たちがアムネスティに語ったところでは、警察はしばしば、彼女たちが英国や米国政府の手先として政府の転覆を図り、体制を変えようとする走狗だと罵倒しているということである。そうした罵倒に続いて、しばしば、あちこち殴打され、手足を骨折するなどの重傷を負う女性たちもいる。

ジンバブエ政府は女性活動家にいわれのない非難を加えているだけではない。女性たちが置かれている絶望的な状況をつくり出しているのは、実は自分たちなのだということを認識しようとしていない」。アイリーン・カーン事務総長はそのように語った。「たとえば、政府は、政府の施策と、深刻化する貧困や次から次へと引き起こされていく国内の危機的な人権状況との間の直接の因果関係を否定しようとしている」

マスヴィンゴ県の、夫を亡くした60歳になる女性クララは、全国的な女性人権団体である女性連合のメンバーである。2003年、クララは、村のコミュニティ会議の場で、野党支持者と見られた人びとが援助食料の配布に際に受けた差別を非難した。地方の与党役員は、彼女が民主的改革運動(MDC)のメンバーであることを糾弾した。その後今日にいたるまで、クララは穀物流通公社(GMB)からトウモロコシを売ってもらえない状態が続いている。

「ジンバブエの女性たちは、自分たちの人権やそのコミュニティのメンバーたちの権利の尊重と擁護を求めている。しばしば、そのために、恣意的な逮捕や拷問をはじめとする厳しい弾圧に直面しているのである」。アイリーン・カーン事務総長はそのように述べた。

「拘禁中の女性の人権擁護活動家の取り扱いは、本人やその家族に悲惨な結果を及ぼしている。とくに面倒を見る人もなくとり残された子どもたちにとって、悲惨である。」

ジンバブエの女性たちは、都市部と農村部のいずれも、食料品を購入したり医療費を支払ったり、家族を養うために生活の糧を得ることがますます困難になっている。2005年、インフォーマル・セクターに対する政府の取り締りによって影響を受けた人びとの大半は、貧しい女性たちであった。

アムネスティの代表団は、大半の人びとの賃金が据え置かれたまま、食料や交通などの生活必需品の価格が日々高騰していくことから生じる窮状を目の当たりにした。代表団が訪れたあらゆる地域で、警察による逮捕や没収を避けながら、女性たちは必死で物を売ろうとしていた。

人権を擁護する多くの女性たちが穀物流通公社からトウモロコシを売ってもらえない。それは、単に、彼女たちが人権擁護団体に所属しているとか、コミュニティの中での差別その他の人権侵害に抗議したためである。これは、充分な食糧を確保する権利の侵害に他ならない。

「南部アフリカ開発共同体(SADC)加入国の政府指導者たちは、ジンバブエにおける人権侵害を停止させるため、より一層の努力する必要がある」。アイリーン・カーン事務総長はそのように述べた。「次のSADC首脳会議が2007年8月にザンビアで開催されるが、SADC各国の指導者は、ムガベ大統領に対して、政府の政策を批判する人びとへの脅迫、虐待、拷問、嫌がらせを、直ちに停止するよう主張するべきである。」

「女性活動家はジンバブエの発展にとって重要な資源である。政府もそのように考えなければならない。現在、同国が直面している多くの人権問題に取り組むにあたり、女性は要となる役割を果たす。政府は、女性たちの活動が合法であることを認識し、女性に対するあらゆる差別を撤廃するべきである。」

アムネスティ・インターナショナル調査団は、直接的にも文書でも、懸念事項について政府高官と話し合うことを何度も要求したが、面談はすべて拒否された。

アムネスティ発表国際ニュース
(2007年7月25日)
AI Index: AFR46/023/2007

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