イラン:人権擁護活動家への弾圧に抗議

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2007年10月16日
国・地域:イラン
トピック:危機にある個人
10月16日、イランで人権擁護活動家や民間の活動家に対する弾圧が続き、この数カ月間で悪化していることについて、アムネスティ・インターナショナルは再度深い懸念を表明した。

エマデディン・バギの投獄
囚人の権利擁護協会会長で死刑廃止活動家としてイランで最もよく知られている人権擁護活動家の一人であるエマデディン・バギが、10月14日にテヘランの革命法廷第14支部に出頭した際に逮捕された。彼の弁護士は法廷に同行し出廷することが許可されなかった。保釈金額は5000万トマン(約53,619ドル)と提示されたようだが、彼の家族が保釈金の支払いに応じると、裁判官は受け取りを拒否した。

彼は2002年に出された宣告猶予付きの1年の刑を根拠に逮捕された。現在、どこに拘禁されているか不明である。

エマデディン・バギは他にも政略的に刑事事件で訴追され、2007年7月に懲役3年を言い渡された。そのうち2件の罪状は国家安全保障に違反する行為を企図した会議に出席したことで、懲役1年は海外の反体制グループを利する制度の宣伝活動を行ったためであった。彼の弁護士によると、証拠として、フーゼスタン州で爆破に関与し死刑判決を言い渡されたアフワズのアラブ人に関するメディアでのインタビューや当局に宛てた書簡があるという。彼の妻と娘を含む他の4人が懲役3年を言い渡されたが、5年に延長された。彼らはアラブ首長国連邦での人権に関する会議に出席したことを罪に問われた。控訴中のため、拘禁はされていない。

エマデディン・バギの逮捕は政治的動機によるため、イランでの人権状況を批判する人権擁護活動家の活動妨害が目的ではないかと懸念している。アムネスティは彼を良心の囚人と考え、無条件で釈放することを要求する。

女性の権利擁護活動家
イランでの法律上の女性差別に終止符を打つことを求める男女平等運動の活動家も、嫌がらせや逮捕の標的となっている。最近では、2007年10月9日、コルデスタン州の州都サナンダジで21歳のロナク・サファザデが逮捕された。サファザデは男女平等運動の一員であり、サナンダジの非政府組織(NGO)アザルメフルの会員でもある。10月8日に彼女はサナンダジでの国際子どもの日の会議に出席していた。その時、彼女は男女平等運動の署名を集めていた。翌日、国家安全保障担当官が朝8時20分に彼女の家に来て、コンピューターや、署名用紙、キャンペーンのパンフレットなどが押収された後、サファザデは拘束されたという。6日後、彼女の母親は娘と短い電話をすることを許可された。彼女の拘禁先は不明である。

9月に少なくとも25人(テヘランから来たキャンペーン教育委員会の委員5人を含む)がロレスターン州ホルラマバッドの民家でキャンペーンが主催した教育ワークショップで逮捕された。そのうち22人はキャンペーン活動について尋問後、その夜に釈放された。他の3人、レザ・ドラットシャー、バハマン・アザディ、ホスロウ・ナシムプールはホルラマバッド市の活動家で、拘禁中に殴られたが翌日に釈放された。

女性権利活動家もその活動を理由に裁判にかけられている。シャディ・サドルとマフブーベ・アッバスゴリザデは最近、裁判所から召喚された。2007年3月に、裁判中の5人の女性に関し平和な集会を裁判所の前で行っていた際逮捕された33人の女性のうちの2人である。2人は2週間拘禁された後、保釈金で釈放された。弁護士のファリデ・ガイラットが10月14日にイラン学生ニュース協会 (ISNA)に語ったところによると、2人のケースはテヘラン総合革命検察局が検討中で、国家安全保障に違反した罪で起訴されている。3月の裁判所の外での集会が原因かどうかは確認されていないが、弁護士はそう願っている。

9月、ジャーナリストのバハマン・アフマディ・アモウは国家安全保障違反行為で有罪とされ、懲役6カ月と2年間の執行猶予を言い渡された。2006年6月、女性の権利の平等を求めて行った平和的なデモの後、彼は1週間拘禁された。彼の署名入りイラン議会(マジリス)宛公開書簡などが証拠とされており、その中には2006年6月のデモを支持する内容が含まれていたという。

労働組合員
イラン教員組合によると、2007年初めの平和的なデモで多数の教員が逮捕され、解雇や追放を言い渡された。少なくとも2人は執行猶予付きの懲役刑、モハメド・レザ・レザイ‐ゴルカニとラスール・バダキはそれぞれ2年と3年の執行猶予を言い渡された。10月9日、彼らの弁護士であるフシャン・プルババイは、2人とも国家安全保障違反行為で有罪となったとISNAに語った。

フーゼスタン州のハフト・タペフ砂糖工場で、3カ月以上にわたり賃金や福利厚生を受け取っていないとする労働者によるストライキが行われたが、10月3日に治安部隊により強制的に解散させられた。労働者らは1年以上にわたり一連のストライキを15回ほど行った。8月に、彼らは国際労働機関(ILO)に公開書簡を送り、彼らの代表を選出する選挙に参加する権利を含む要求が承認されなければ、デモを続けるとの決意を表明した。ラマザン・アリプールとフェリードン・ニコファールの2人が、情報省に出頭を命じられた後に、逮捕されたというが、未確認である。

クルド人権組織によると、「公共の安全の阻害」を理由に5人のクルド人労働者が3カ月の懲役刑と40回の鞭打ち刑を受けた。彼らは3年の執行猶予を受け、その間「顕著な」政治的および社会的人物との面会を禁じられたという。2007年4月の労働者の権利擁護活動家マハムード・サレヒの逮捕に対する抗議デモの間、彼らは数日間勾留されていたという。

クルド人
クルド人権擁護活動家によると、市民社会や学生運動家に対する新規の逮捕や判決が相次いでいるという。例えば、通学を禁じられているクルド民主学生連盟の前会長であるヤセル・ゴーリは、10月10日にサナンダジで治安部隊により逮捕され、自宅を捜索され、コンピューターや個人的な所有物を押収されたという。ゲレフト新聞社のジャーナリストであるアコ・コルドナサブは、スパイ活動により3年間の懲役刑を言い渡されたという。

アムネスティはイラン当局に対し、結社や表現の自由の権利を尊重し、人権擁護活動家に対する抑圧を止めるよう求めている。アムネスティはまた、当局に対して1988年に採択された人権擁護活動家に関する国連の宣言に沿った法の施行を要求している。人権擁護活動家に関する国連の宣言(A/RES/53/144)の正式名称は「普遍的に承認された人権及び基本的自由を促進し保護するための個人、集団及び社会機関の権利及び責任に関する宣言」。(詳細は以下を参照)http://daccessdds.un.org/doc/UNDOC/GEN/N99/770/89/PDF/N9977089.pdf?OpenElement

アムネスティは、すべての良心の囚人の釈放、起訴された人びとが公正な裁判に関する国際的な基準に沿った裁判を受けること、死刑に処せられないこと、囚人が拷問や虐待を受けたという情報がある場合には迅速かつ徹底した独立の捜査が行われること、そして囚人に対して拷問を加えたり虐待したりした責任のある役人がきちんと裁かれることを求め、今後も引き続き活動していく。

AI Index: MDE 13/117/2007
2007年10月16日
 

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