イラン:全土に広がる抗議活動 繰り返される流血の弾圧

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2026年1月21日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イラン
トピック:表現の自由

2025年12月28日以降、イラン全土で当局が抗議活動に対し苛烈な弾圧を繰り広げており、治安部隊は違法な武力と銃器を用いて大勢の人びとを恣意的に逮捕している。

イスラム革命防衛隊(IRGC)およびイラン警察(FARAJA)は、ライフル銃、金属弾を装弾した散弾銃、放水銃、催涙ガスを違法に使用し、暴行を加えるなどして、ほとんどが平和的だったデモ隊を追い払い、威嚇し、処罰している。アムネスティとヒューマン・ライツ・ウォッチが行った調査で明らかになった。

両団体が集めた信頼できる情報によると、一連の弾圧で、2025年12月31日から2026年1月3日にかけ、8州13都市で、デモ参加者やその場に居合わせた人少なくとも28人が殺害された。子どもも犠牲になった。

「数十年にわたる弾圧に対する怒りをぶつけ、根本的な変革を求めて勇気を出したイランの人びとは、またもや治安部隊から違法な発砲、追跡、逮捕、暴行を受け、命の危機にさらされている。2022年に起こった『女性、生命、自由』抗議運動を彷彿とさせる状況だ。イラン最高の治安機関である国家安全保障会議は、直ちに治安部隊に対し、違法な武力行使と銃器の使用を直ちにやめるよう命じるべきだ」(アムネスティ・インターナショナル中東・北アフリカ地域事務所副所長ダイアナ・エルタハウィ)

2025年12月28日、通貨の暴落と急激なインフレをきっかけに、抗議デモが始まった。背景には、水の供給などの生活インフラにおける慢性的な管理不全、悪化する生活環境がある。テヘランのグランドバザールでの店舗閉鎖とストライキに始まった抗議デモは瞬く間に全国に広まり、イスラム共和国体制の打倒と、人権、尊厳、自由を要求する街頭デモに発展した。当局はそれに対し、暴力による鎮圧と大量逮捕で応じた。すでに数百人が恣意的に拘束され、拷問などの虐待を受ける危険がある。

「イラン治安部隊はデモ隊に対し致死的なものを含め違法な武力を、頻繁かつ執拗に行使し続けている。治安部隊員が重大な人権侵害を犯しても組織的に処罰を免れている状況と合わせて考えると、デモ鎮圧のためのこうした武器の使用が国の方針として定着していることを示している」(ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東・北アフリカ局局長代理マイケル・ページ)

ヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティは、デモ参加者、目撃者、人権活動家、ジャーナリスト、医療従事者など26人に聞き取りを行うとともに、公式声明を精査し、オンラインで公開された、あるいは両団体に提供された数十の検証済みの動画を分析した。また、アムネスティの求めにより独立系病理学者が、死傷したデモ参加者の画像を検証した。

政府高官はデモ参加者を「暴徒」と悪者扱いし、「断固とした」弾圧を行うと明言していた。2026年1月3日、治安部隊が少なくとも11人のデモ参加者を殺害した際、アリ・ハメネイ最高指導者は、「暴徒は身の程をわきまえるべきだ」と発言。同日、革命防衛隊のロレスターン州地方部隊は、「寛容の時期は終わりだ。治安を乱す運動の暴徒、それを組織した者、指導者らを容赦なく狙い撃ちにする」と宣言した。

2026年1月5日には司法長官も検察に対し、デモ参加者には「容赦なく」対応し、迅速に裁判にかけるよう命じた。

国連加盟国とEU(欧州連合)などの地域機関は明確な非難を公的に表明し、流血を止めるようイラン当局に圧力をかけるべく、緊急の外交行動をとる必要がある。

アムネスティとヒューマン・ライツ・ウォッチは、イラン当局が、反政府派を排除し処罰するために、殺人、拷問、強かん、強制失踪などの国際法違反の犯罪を繰り返し行ってきたことを明らかにしてきた。こうした行為が野放しなのは、組織的な不処罰がまん延しているためだ。これを踏まえ、両団体は各国の検察当局に対し、責任が疑われる者への逮捕状発行を視野に入れ、普遍的管轄権の原則にのっとり、犯罪捜査を開始することを求める。

違法な武力行使と殺人

28人の犠牲者は全員、治安部隊が散弾銃から発砲した金属弾などで銃撃された。これまでと同様、今回も国は否定し、沈黙を守り、当局は殺害の責任を認めていない。当局者は、一部の犠牲者の家族に対し、国営メディアに出演して死亡は事故あるいはデモ参加者のせいにするよう強制し、従わないなら、報復する、遺体は秘密裏に埋葬すると脅した。

アムネスティとヒューマン・ライツ・ウォッチによると、デモ参加者はほとんどが平和的だった。何人かのデモ参加者が暴力行為を行ったとの動画や報告を検証したが、すべての射撃行為は銃器の使用を正当化するような、生命への差し迫った脅威や重傷を負わせる危険性はなかった。

両団体が収集した証拠によると、クルド系とルーリ系少数民族の住むロレスターン州とイーラーム州では、最も激しい弾圧があり、ロレスターン州で8人、イーラーム州で5人、殺害された。2025年12月31日から2026年1月3日にかけて、チャハールマハール・バフティヤーリー州、ファールス州、ケルマーンシャー州ではそれぞれ4人、エスファハーン州、ハマダーン州、コム州では、それぞれ1人が殺害された。

ロレスターン州アズナ市のデモ参加者がアムネスティに語ったところによると、2026年1月1日の夕方、アーザーデガーン広場にある郡知事事務所近くで、治安部隊が平和的なデモ隊に発砲した。アムネスティが検証したこの女性が撮った動画には、革命防衛隊員がデモ参加者に発砲する様子が映っていた。群衆が散開した後、何人かのデモ参加者が近くの警察署近くに再び集まったところ、治安部隊がまたもや発砲した。

1月1日にオンラインで公開された複数の動画には、警察署の外でデモ参加者がシュプレヒコールを上げる様子が映っていた。検証した動画のうち少なくとも1本では、銃声が何発も聞こえる。

確認された情報によると、アズナ市では少なくとも6人のデモ参加者が殺害された。当局はうち16歳の青年の遺体を今もって引き渡していない。彼は当初、行方不明と報告されていた。情報筋がアムネスティに伝えたところによると、1月3日に家族が警察署に行き彼の消息を尋ねると、そこにいた職員から死亡した何人かの写真を見せられ、その中に彼を見つけた。遺体の写真には、頭部にひどい傷が複数写っていた。

イーラーム州マレクシャーヒーのデモ参加者は、1月3日の午後、数百人がショハダ広場から革命防衛隊傘下のバスィージ(民兵組織)の基地にむかって平和的に行進していた時のことをアムネスティに語った。

「革命防衛隊の要員は、基地の中から誰彼構わず発砲した。3人か4人がその場で殺され、多くの人が負傷した。デモ隊は完全に丸腰だった」

2本の検証済み動画には、その午後、バスィージ基地の外で銃声の中、逃げ惑うデモ隊の姿が映っている。オンラインに投稿された別の動画には、基地の中の6人の要員が映っており、そのうちの少なくとも1人がデモ隊に向かって発砲していた。2本の動画では、あきらかに負傷し、微動だにしない3人の犠牲者が映っていた。

情報筋によると、デモに参加した3人がその場で殺害された。他に2人がその時に負ったけががもとで後に死亡している。

ケルマーンシャー州ケルマーンシャー市ジャファラバード地区では、3人が1月3日に銃撃で殺害された。うち2人は兄弟だった。人権活動家の話では、3台の白い車でやってきた平服の治安要員が、道路を封鎖しようとしていたデモ隊の中にいた兄弟に向かって金属弾を発砲した。

人権活動家からの情報によると、1月1日、チャハールマハール・バフティヤーリー州のロルデガーンでデモをしていた2人の男性が治安部隊に殺害され、1月3日には同州ハフシェジャーンで1人の男性が殺害された。アムネスティとヒューマン・ライツ・ウォッチが3人の遺体の写真を確認したところ、胴体には金属弾による典型的な散弾状の傷跡が見られた。

重傷を負うデモ参加者

両団体の記録では、散弾銃を使った金属弾の発砲が横行し、頭部や目の負傷など多大な被害を出したことがわかっている。殴打やライフル銃による銃撃も負傷を招いた。

コフギールーイェ・ブーイェル=アフマド州デフダシュトのあるデモ参加者は、2026年1月3日、デモの最中に治安部隊に撃たれた。彼は、足を失う危険があったにもかかわらず、逮捕を恐れて病院で手当てを受けなかった。アムネスティが意見を求めた独立系病理医は、デモ参加者の傷の写真を調べ、散弾銃から発射された1発の金属弾によるものである可能性を指摘した。

1月6日、イーラーム州イーラーム市の写真家がソーシャルメディアに動画を投稿した。金属弾による傷で血まみれの自身の顔を映したものだ。カメラに向かって金属弾を見せながら、治安部隊がデモ隊に向かって狩猟用の銃弾を使っていると話した。「人を殺すのは、あいつらにとってはゲームだ。僕たちが獲物で、自分たちは猟師だと思っているんだろう」

エスファハーン州エスファハーン市の女性はアムネスティに対し、力づくでデモ隊を蹴散らそうとする治安部隊から逃げようとしたとき、隊員に地面に押し倒され背中を踏みつけられた、と語った。彼女はいくつものすり傷で血だらけになった顔の画像を見せてくれた。

「私がもがけばもがくほど、隊員は強く踏みつけた。動くこともできなかった。叫んだが、黙れと言われた」

治安部隊が病院にいるため、多くの負傷したデモ参加者は病院での手当てをためらっており、死亡の危険性が高まっている。チャハールマハール・バフティヤーリー州ハフシェジャーンでは、1月3日、金属弾で負傷した男性が、病院ではなく畜産農場へ運ばれ、死亡した。

1月4日、イラン警察の特殊部隊と革命防衛隊が、負傷したデモ参加者の治療に当たっているイーラーム市の病院を襲撃した。人権活動家の証言と検証済み動画によれば、隊員が金属弾を装填した散弾銃と催涙ガスを病院の敷地に向け発射し、ガラスの扉を壊し、患者やその親族、医療従事者を殴打した。

大量の恣意的逮捕

治安部隊は、デモ隊の解散時や夜間の家宅捜索で、数百人を恣意的に逮捕している。この中には、14歳の子どももいた。病院から連行された人もいる。当局は多くの人びとを強制失踪させ、隔離拘禁に置き、拷問などの虐待を受ける危険にさらしている。

当局は拘禁した人たちに「自白」を強要し、それをすでに放送している。2026年1月5日、革命防衛隊傘下のタスニム通信は18歳の女性と16歳の少女の「自白」を放映し、「暴徒を率いた」と彼女たちを糾弾した。

イラン当局は、抗議デモに平和的に参加した、あるいはデモへの支持を表明しただけで拘束されているすべての人を即時無条件に釈放しなければならない。すべての被拘禁者を、拷問、虐待から保護し、家族や弁護士と連絡が取れるようにし、必要とする医療が受けられるようにすべきだ。

デモ弾圧での犠牲者(敬称略・名前が判明している人びと)

  • ロレスターン州アズナ
    ヴァハーブ・ムーサヴィー、モスタファ・ファッラーヒー、シャーヤーン・アサドッラーヒー、アフマドレザー・アマニ、レザー・モラーディー・アブドルヴァンド、ターハー・サファリー
     
  • イーラーム州マレクシャーヒー
    レザー・アズィームザーデ、ラティーフ・カリーミー、メフディー・エマームィープール、ファーレス(モフセン)・アーガー・モハンマディー、モハンマド・レザー・カラーミー
     
  • ケルマーンシャー州ケルマーンシャー
    レザー・ガンバリー、ラスール・カディヴァリヤーン、レザー・カディヴァリヤーン
     
  • チャハールマハール・バフティヤーリー州ロルデガーン
    アフマド・ジャリール、サッジャード・ヴァラマネシュ
     
  • 同州ハフシェジャーン
    モフセン・アルマック、ソルーシュ・ソレイマーニー

アムネスティ国際ニュース
2026年1月8日

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