- 2008年3月 7日
- 国・地域:中国
- トピック:危機にある個人
弁護士であるとともに学者でもあり、また人権活動家でもある滕彪(Teng Biao)は、昨夜午後8時半頃に自宅に戻った後、車の中に押し込められるところを目撃されたのを最後に行方不明となっている。それ以来、滕彪からの連絡はなく、本人の携帯に連絡はついていない。
別の事件では、本日の午前7時20分頃、人権派弁護士の李和平(Li Heping)が息子を学校へ送り届けようと車を運転中、警察に車を追突された。李和平と息子は追突の衝撃を受けたが、重傷は負っていないと考えられている。
警察の車は李和平を自宅から尾行し、追突直前にスピードを上げたと思われる。李和平は、自宅がある区域を管轄する警察官3人が車の中にいたことを確認している。李和平の話によると、車の運転手は追突について問い詰めようとした彼を無視し、彼はその日のうちに事故を報告したが、交通警察は事件を取り上げることを拒否したという。2007年9月、李和平は正体不明の男たちに誘拐され、電気ショック棒で殴られ、北京市を去るか、さもなければもっと危険な目に遭うと脅されていた。
「2人の人権派弁護士がこの2日の間に標的にされたことは、オリンピック開幕を前に北京の活動家に対する締め付けが強化されていることを示唆している」と、ティム・パリットは述べた。
「私たちは、滕彪さんと李和平さんの安全について非常に憂慮している。当局は、この2つの事件について徹底的かつ公正な調査を実施し、滕彪さんの行方について情報を提供しなくてはならない」。
アムネスティはまた、人権活動家たちは非暴力で合法的な活動を理由に拘禁されていると指摘した。
警察は最近、拘禁されている人権活動家・胡佳の書類を送検し、胡佳が間もなく国家政権転覆扇動罪の容疑で裁判にかけられることを示唆した。中国では、国家政権転覆扇動罪は非暴力活動家を沈黙させ拘禁するためによく利用される容疑である。胡佳は2007年12月に拘禁されたが、警察がそのことを家族に通知したのは今年の1月30日だった。警察が胡佳に「罪」を「自白」させるため圧力をかけていることが懸念されている。アムネスティは、胡佳は良心の囚人であり、即時かつ無条件の釈放を要請し続けている。
インターネットの検閲もここ数週間で強化され、とりわけHIV/エイズ問題に取り組む北京市内の団体が標的にされている。
2月26日、北京市当局は、HIV/エイズ活動家が運営しているエイズに関する2つの情報サイト(www.aidsmuseum.net と www.aidswiki.cn)を閉鎖した。
3月5日、北京愛知行健康教育研究所(Beijing Aizhixing Institute of Health Education)は、特定されていない「違法な情報」をそのウェブサイトから削除するよう命令を受け、サイトは一時的に閉鎖された。命令は、同サイトに胡佳に関する情報が出ていたことに関係していると考えられている。胡佳はHIV/エイズに関するアドボカシーの一環として同団体を共同設立した人物である。
背景情報:
滕彪の誘拐は、胡佳の事件に関連している可能性がある。2007年12月に胡佳が公式に拘束されて以来、警察は滕彪に対して、胡佳の事件に関わるなと警告していた。2人は中国の人権侵害に関する論文「真実の中国とオリンピック」を共同で執筆し、2007年9月に発表した。論文は以下で読むことができる。
http://hujiachina.spaces.live.com/blog/cns!2E61195DD50A5E9A!327.entry
また英訳版は、ヒューマンライツ・イン・チャイナが最近発表した。
http://hrichina.org/public/PDFs/CRF.4.2007/CRF-2007-4_Situation.pdf
胡佳は、家族と1人の弁護人には面会することが許されているが、その他の弁護人と会うことは許可されていない。警察は、事件が国家機密に関わるということをその理由としている。面会は複数の警官によって監視され、胡佳は自由に話すことができない。2008年1月31日に初めて面会した家族・弁護人は、胡佳の顔色は悪く、ストレスを受けており、まるで台詞を言うように話していたと、その状況を心配していた。胡佳さんはB型肝炎のために肝臓を患っている。警察は薬を与えていると言っているが、何の薬なのか、彼の病状に適した薬なのか、正確には分かっていない。
胡佳に関する詳細な情報については以下を参照のこと:
Amnesty International Urgent Action(アムネスティ緊急行動), UA 01/08, ASA 17/035/2008, 2 January 2008
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA17/035/2008/en
更新情報はASA 17/047/2008, 1 February 2008.
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA17/047/2008/en
李和平は2007年9月29日にも誘拐され、正体不明の集団から暴行を受けた。電気ショック棒で殴られ、北京を去らなければさらに危険な目に遭うと脅された。李和平は約8時間後に解放された。この誘拐事件は、2007年10月に開催された第17回中国共産党大会の期間中、北京を離れるよう、警察が李和平に警告した直後に発生した。
詳細は:
Amnesty International Urgent Action, UA 253/07, ASA 17/046/2007, 3 October 2007
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA17/046/2007/en
更新情報は:ASA 17/064/2007, 21 December 2007.
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA17/064/2007/en
*滕彪氏は2日後の3月8日に解放されたと報道されています。
アムネスティ発表国際ニュース
2008年3月7日
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