中国:ダライ・ラマ 後継者選びに言及 当局はチベットの宗教的慣行への介入をやめよ

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2025年7月16日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中国
トピック:

チベットの精神的指導者であるダライ・ラマ14世は7月2日、90歳の誕生日を前にインドのダラムサラで、自身の精神的後継者の選出について、自身の死後に後継者が現れるとし、自身が設立したガデン・ポドラン財団のみが、自分の生まれ変わりを認定する権限を有すると表明した。

中国当局は長年にわたり、宗教的自由を組織的に抑圧し、チベット仏教に対する支配を強化する中で、チベット仏教指導者の「輪廻転生」を管理しようとしてきた。例えば、1995年にダライ・ラマがパンチェン・ラマ(最高指導者に次いで2番目に高い地位)の生まれ変わりとして認定した少年、ゲンドゥン・チューキ・ニマさんは、当局によって強制的に失踪させられた。中国政府は、彼の消息についていまだにきちんと説明していない。

こうした抑圧は宗教や信仰の自由の権利に対する直接的な侵害だ。チベット仏教徒は、他のすべての宗教的共同体と同様、当局の強制や干渉なしに、自らの精神的指導者を選ぶ権利を有する。

中国当局は、チベットの宗教的慣行に対する政治的干渉を直ちに中止し、宗教的継承を支配と抑圧の手段として利用することをやめるべきだ。当局には、すべての人の宗教の自由、信仰の自由の権利を尊重し、保護する義務がある。また、ゲンドゥン・チューキ・ニマさんと自由に連絡がとれるようにし、彼の失踪が30年も罪に問われてこなかった件に対処すべきだ。

背景情報

中国政府は、チベット仏教の「転生活仏」※はすべて国家当局の承認を必要とするとし、2007年の「転生活仏の管理に関する規定」などの法的文書でこの立場を詳細に明文化している。同管理規程は、聖職者の影響力に応じて、複数レベルの政府機関による公式な審査と承認を求めている。

2025年3月の白書「新時代におけるチベットの人権」で、中国政府は再びこの立場を再確認し、転生制度が「仏教団体の指導の下で、政府の管理運営により機能している」と明言した。同白書は、2024年末までに政府の承認を経て93人の転生活仏が確認されたと誇示し、国家管理の成果だと強調している。

ゲンドゥン・チューキ・ニマさんは6歳の時、1995年5月にダライ・ラマによって第11代パンチェン・ラマに認定された。その3日後、彼は家族とともに中国当局によって強制的に失踪させられ、以来、公の場に姿を見せていない。中国政府はその後、彼が「通常の生活を送っている」とあいまいな主張を繰り返している。

国際人権法、特に自由権規約(市民的および政治定期権利に関する国際規約)第18条などの規定に基づき、すべての個人および集団は、強制を受けることなく、自らが選択する宗教・信仰を持ち、表明する権利を有する。中国は自由権規約に署名しているが、批准はしていない。しかし、同条約の目的と趣旨を損ねない義務を負う。また、強制失踪は国際法違反であり、個人の消息が明らかになるまでこの違反は続く。

国連子どもの権利委員会と強制または任意の失踪に関する作業部会は、ゲンドゥン・チューキ・ニマさんの消息に関する情報を繰り返し要請してきた。宗教の自由と信仰の自由に関する特別報告者は、宗教的共同体は国家の干渉なしに指導者を決定する自由を保障されなければならないと強調している。

※転生活仏…如来、菩薩、過去の偉大な高僧の化身

アムネスティ国際ニュース
2025年7月2日

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