中国:国連人権理事会への政府報告書は人権侵害を隠蔽

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2009年2月 5日
国・地域:中国
トピック:
アムネスティ・インターナショナルは、中国全土で重大な人権侵害が起きていると考えている。2月9日に国連人権理事会で中国の普遍的定期審査(UPR)が予定されており、アムネスティのオルタナティブレポートはその際に提起すべき多くの問題を指摘している。

北京オリンピックが閉幕して6カ月、UPRは国際社会が中国の人権問題を全般にわたって定期的に検討するためのまたとない機会となっている。

「中国が人権に関して世界と関わり合いを持つことはいつでも歓迎する」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。「問題はその関わり合いが、中国の市民の生活に、とくに自分たちの権利を平和的に行使しようとしたために迫害されている人びとに、どのような影響を及ぼすかである」

アムネスティは、適切な時期に報告書を提出したことも含め、中国の積極的なUPRへの取り組みを評価している。また中国が、法制度における進展や人権教育プログラム、労働契約法の制定などの人権に関連する分野において、改革を進めていることも理解している。

しかしながら、中国政府の報告書は、チベットで現在も続いている危機的状況や中国西部・新彊ウイグル自治区のウイグル人に対する厳しい弾圧、法輪功を含む様々な宗教関係者への迫害にはまったく触れていない。

官製新聞のラサ・イブニング・ニューズによれば、1月18日に首都ラサで「厳打統一点検キャンペーン」が開始された。このキャンペーンにより、居住地域やアパート、ホテル、ゲストハウス、インターネットカフェ、バーへの「強制捜査」が実施された。1月24日までに、警察は容疑者81人を拘束したが、そのうちの2人は「携帯電話内に反動的な意見や歌を有していた」という容疑であった。

「中国政府の報告書は、中国の最も差し迫った問題のいくつかに言及していない」と、ロジーン・ライフは述べた。「国内の深刻な人権侵害を黙殺することは、UPRの目的と精神を損なうものである」

アムネスティの見るところでは、中国政府の報告書は、数十万人の人びとを裁判も弁護士へのアクセスもなく投獄している行政拘禁の制度にも、また数億人におよぶ農村出身の労働者を都市部で二流の市民として扱っている戸籍制度の改革の必要性にも触れていない。

アムネスティは、中国政府が報告書の作成に際して市民社会の幅広い参加を求めていないことにも失望を表明する。

「この審査の有意義な点の一つは、国連への報告書作成に際して政府が 国内のNGOや活動家と誠実な協力関係を築くことが求められることである」と、ロジーン・ライフは述べた。「その努力をしなかったために、中国は国内の重大な人権問題に取り組む貴重な機会を失った」

アムネスティは中国政府に対して、政府報告書およびNGOによる報告書を積極的に市民社会に公開し、2月9日の審査の様子が放送されることを広く国民に知らせるよう要請する。

「UPRが真に効果的な仕組みとなるかどうかは、人権改善のために中国政府が国内でどのような具体的な行動を取るかがその試金石となる。私たちは、審査の際に中国が自国についてどのように述べるか、また他の国ぐにが何を質問し、何を質問しないかなどに注目しながら、審査の様子を注意深く見守るつもりである」と、ロジーン・ライフは述べた。

*中国のUPRでは、中国代表団はその報告書を提出し、理事会からの質問に返答する。この会議は、2月9日午前8時(グリニッジ標準時)に開始される。会議は生中継され、下記の国連ウェブサイトで視聴することができる。
http://www.un.org/webcast/unhrc/index.asp.

*アムネスティが国連人権理事会に提出した「中国の人権に関する報告書」の全内容は以下のサイトを参照のこと。
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA17/097/2008/en

アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月5日

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