- 2009年6月 3日
- [日本支部声明]
- 国・地域:中国
- トピック:危機にある個人
駐日中華人民共和国大使館 特命全権大使 崔天凱 閣下
天安門事件20周年にあたる6月4日を迎えようとしています。
本日、私たちは、アムネスティ・インターナショナル日本の会員とその他の多くの市民を代表し、天安門事件を偲ぶ「6月4日のバラの花束」とともに、事件の真相究明と被害者への正義の実現を、貴国に謹んで要請いたします。
1989年6月、10万人を超える市民が天安門広場に集まっていました。市民の要求は、中国の政治や経済の改革であり、民主化であり、人権の促進でした。しかし、6月3日の夜から4日にかけて、天安門広場で行なわれていた平和的なデモや集会は、重装備の部隊と装甲車によって激しく弾圧されました。その結果、市民数百人が死亡し、数千人が負傷しました。 さらにその後、数万人が逮捕され、少なくとも20人から200人もの人はいまだに拘禁されていると考えられています。
事件から20年が経過しました。しかし、貴国は今日にいたるまで事件の真相究明を拒否し、加害者を処罰していません。天安門事件について公に議論することは相変わらず禁じられており、雑誌、新聞、教科書、インターネット・サイトから、事件に関する記述が消しつづけられています。
さらに、「天安門の母たち」など犠牲者遺族が真相を究明することすら阻もうとしています。「天安門の母たち」のメンバーに対する嫌がらせや脅迫、また、事件で亡くなった娘や息子を公の場で追悼することを認めないといった行為は、二重三重に遺族を苦しめる結果となっています。
事件から長い月日が経とうとも、私たちは、今もあの事件を忘れることはできません。アムネスティ・インターナショナル日本は本日、改めて貴国に以下を要請いたします。
・ 天安門事件20周年を迎えるにあたり、加害者を裁判にかけ、被害者と遺族への賠償を視野に入れた、1989年6月の出来事に関する徹底的かつ公正な調査を実施すること。
・ 「天安門の母たち」が平和的で合法的な人権活動を行うことを妨げる恣意的拘禁、嫌がらせ、規制を止めること。
貴国は去る4月に、国家人権行動計画を発表しました。私たちは、この国家人権行動計画を歓迎します。しかし同時に、行動計画は、現在起こっている深刻な人権侵害に対処していない、と考えています。例えば、表現の自由の権利を行使しただけで標的とされている人権擁護活動家への嫌がらせ、身柄拘束や投獄、メディアの検閲、公正な裁判の機会を与えないまま個人の自由を奪う行政拘禁などが、国際社会の懸念となっています。
中国の人権行動計画が人権侵害の現場で現実に影響を及ぼすためには、具体的な対策を講じる必要があります。天安門事件の真相究明や遺族への賠償は、その重要な一つです。
今こそ天安門事件に対する正義が実現されることを、世界中の多くの人々が望んでいます。私たちは、貴国が、同事件やその他の人権侵害の解決に向けて誠実に取り組み、そのことを国際社会に向けて堂々と示すことを、強く期待しています。
2009年6月3日
アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 寺中 誠
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