- 2009年6月14日
- 国・地域:イラン
- トピック:
アムネスティは、私服の治安部隊が非暴力の人びとを打ちつけ、追い散らすために不必要に警棒を使用し、多くの人びとが負傷したという情報をイランから得ている。
「治安部隊によって行われた衝撃的な暴力の背景は早急に調査される必要があり、人権侵害に責任ある者には正義が下されなければならない」と、アムネスティ・インターナショナル中東・北アフリカ部副部長のハッシバ・ハジ・サラウィは述べた。「私たちは治安部隊が治安を確保するべきであるという義務は認める。しかし、逮捕された人びとの嫌疑の根拠や暴力との関連については、拘束された人びとの家族や、イラン国民と国際社会に対し明らかにするべきである」
土曜日、内務省周辺とテヘラン中心部で治安部隊と数百人のデモ隊との衝突で、少なくとも170人が逮捕された。逮捕された人びとの中には、当局が今回の騒乱を指揮したとして非難した有力な政治家も含まれる。その後、数人は釈放されている。
「私たちはイランのすべての人びとが、結社および集会の自由、平和的に表現する自由を認めることをイラン当局が保障するよう要求する。選挙の結果に異議を唱えたことで、誰一人逮捕されるべきではない。また、多くの人びとが懸念している選挙結果の不正に対して、当局は透明性のある方式にのっとって応える必要がある」
各大学が閉鎖されていたにもかかわらず、アムネスティが受けたある情報によると、ヘルメットと盾で装備した100人に及ぶ機動隊が300人から400人の学生をテヘラン大学の敷地内まで追いまわしたことが明らかになっている。さらに治安部隊員は騒乱を鎮圧するためにペッパーガスや催涙ガスを使用した。特にテヘランのポル・エ・ギシャとシラーズにある学生寮それぞれに対して使用された。別の事件では、バイクに乗った警察官が大統領候補であるミール・オッセン・ムザビの支援者を殴りつけた。支援者たちは選挙結果に抗議するためにテヘランのヴァナック広場で座り込みを行っていた。
土曜日深夜にはアッバース・アバド、サーダット・アバトやタジュリーシュ一帯などのテヘラン中心部でところどころでバリケードが燃え、治安部隊との衝突が続いた。デモはさらに他の都市まで広がり、少数派であるアラブ系イラン人の住むラシュト、シラーズ、アフワズや、イランの南東であり少数民族であるバルーチ人の中心地であるザーヘダーン、主にクルド人とアゼルバイジャン系のトルコ人によって構成されるオロウミエにまで及んだ。
土曜日の騒乱の最中には、YouTubeやFacebook、その他のソーシャル・ネットワーキング・サービスのサイトへのアクセスが、他のオンラインニュースへのアクセスとともに、遮断された。SMS(携帯電話用ショートメッセージ)による連絡も制限されたという。こうした通信手段の多くは、選挙の処理方法に欠陥があり、選挙結果には不正があったとする懸念を抱かせるような情報を載せていた。
「情報弾圧を講じ、YouTubeやFacebookのようなビデオ共有ソーシャル・ネットワーキング・サイト、その他数あるオンライン上のニュースサイトなどをブロックして視聴できないようにするよりも、当局は懸念事項や批判を受けた点に取り組むことを公にするべきである。あまりにも多くの人びとが、それを指摘しているのだから」とハッシバ・ハジ・サラウィは述べた。アムネスティは当局に対し、大統領選挙にかかわった新聞各紙は、他の候補たちの声明も掲載するよう求めた。
「私たちは、広範囲に及ぶ人権侵害とともに新たな大統領の任期が到来を告げたことを遺憾に思う。アムネスティは、透明性の要求と選挙結果に異議を唱えたために逮捕されたすべての人は『良心の囚人』であると考える。彼らを即時無条件で釈放しなければならない」
背景情報:
選挙前には、抑圧と脅迫の風潮がより強くなっていたことが証明されている。これは多くの解説者が、大統領マフムード・アハマディネジャドの勝利を確実にするための計画的な戦略と証している。伝えられるところでは、投票の終了に先立って、現職大統領アフマディネジャドよりも他の候補者とつながりのある新聞社は治安部隊の下に占領され、作業結果などが運び出された。テヘラン州検察長のサイード・モルタザヴィの口頭での発表によれば、投票終了の数時間後には、内務省の役人から内密にミール・オッセン・ムサビが選挙に勝利したことが伝えられ、彼は記者会見のための準備の最中に襲撃された。少なくとも3人のミール・オッセン・ムサビの補佐が拘束された。ミール・オッセン・ムサビは公開文書のなかで「この危険で見え透いたまねごとには屈しない」と表明した。
アムネスティ発表国際ニュース
2009年6月14日
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