米国:武器貿易条約交渉への米国参加に高い見返り

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2009年10月14日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:武器貿易条約

NGOは米国の武器貿易条約(ATT)への支持を歓迎するが、すべての加盟国に拒否権を与えるという提案は、今後の条約を強化するどころか弱めるだろうと警告する。

(ニューヨーク)、米政府が本日、国連において武器貿易条約の交渉開始を支持すると発表したことについて、オックスファム・インターナショナルとアムネスティ・インターナショナルは歓迎の意を表明した。同時に両団体は、米政府の支持の見返りは非常に高くつくと注意を喚起している。

無責任な武器移転を防止するために国連での公式な交渉を開始するにあたり、世界最大の武器輸出国が条約支持に回ったことは大きな進展である。これは、通常兵器の無秩序な貿易が引き起こす負の影響を少なくすることについてオバマ政権が真剣であることを示している。ブッシュ政権下での米政府は、かつて国連総会においてATT成立に向けた国連プロセスに反対票を投じた唯一の政府であった。

米政府は本日、国連プロセスを支持する一環として、最終会議の決定はコンセンサス方式に拠るとする規定を設けた上で、今後の交渉には拒否権条項を入れなければならないという条件を出した。

この条件は、プロセスの最終的な取り決めを致命的に弱める恐れがあると、オックスファムとアムネスティは述べている。

オックスファム政策顧問のデビー・ヒリアーは次のように語った。「世界中が、国際的な武器貿易条約の交渉に米国が参加することを長く待ち望んでいた。しかし、各国政府は米国の要求を拒否し、条約に対する拒否権をたとえ1カ国にでも与えるようなことがあってはならない。それは、交渉過程において国連プロセスを人質にすることになりかねない。私たちは、すべての政府がそのような拒否権条項を退けるよう求める」

各国政府は今月、ニューヨークの国連本部で、国際的な武器貿易条約の公式交渉を開始するかどうか、その成否を左右する会合を持つ。

国際人道法や人権法に対する重大な侵害がある、あるいは持続的開発を損なうことに使われる危険がある国際的な武器移転を禁止するためには、武器移転に関する新しい国際基準の合意が形成されなければならない、とオックスファムとアムネスティは語った。

「ようやく、米政府は可能な限り高い水準の、強力で確固とした武器貿易条約を望んでいると述べた」「しかし、すべての加盟国に2012年の国連会議を頓挫させてしまうような権限を与えることになれば、米国の見解は、世界中で無数の人命を奪っている無責任な武器移転に取り組むための合意を著しく弱め、または遅らせることになるだろう」と、アムネスティ・インターナショナルのブライアン・ウッドは述べた。

注: 国連は、2006年に行われた決議の際に圧倒的な支持を得て通常兵器の貿易を規制する武器貿易条約に関する作業を開始した。米国は、その作業を開始するための決議に反対票を投じた唯一の国であった。153カ国が賛成票を投じた。

武器貿易条約成立に向けてイニシアチブをとっている政府は、英国、アルゼンチン、オーストラリア、コスタリカ、日本、ケニア、フィンランドである。

現在、通常兵器の貿易に関する世界的な規制はない。武器使用による暴力は、1日に2000人の命を奪っている。NGOが算出したところでは、アフリカだけで、武器による暴力の対価は、1日に190億ドルにも上っている。

武器貿易条約は、各国の領域内で起きる、またはその領域を通過する国際的な武器移転すべてについて各国が認可することを要請している。同条約は、自衛のために武器を購入し入手する各国の正当な権利を侵すものではない。また、同条約は国際的な武器移転のみを規制するものであって、民間人の武器所有権に影響を及ぼすものではない。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年10月14日

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