- 2025年5月 1日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:企業の社会的責任
米国の裁判所は、グーグル社のオンライン広告技術における独占を違法とする判断を示した。
グーグルの独占状態の解体は、オンライン上の人権を尊重する重要な第一歩となりえる。一社の独占的支配を削ぎ、私たち個人に関わる情報の支配力を弱めることは、人権の尊重に取り組む人びとによる活動の場の拡大につながる。
グーグルのビジネスモデルは、人びとの個人データを収集、分析、共有することで利益を得るものだ。この有害で監視的な手法は、メタ社やTikTokなどの大手テック企業と共有され、プライバシーの権利侵害やグーグルによるマーケットの独占を許し、私たちの権利を尊重する選択肢が入り込む余地を奪う。
世界最大の検索エンジンを提供するグーグルには、利用者がその権利が保護されているという安心感を持ってインターネットを利用できるかどうかが問われている。また、すべての企業には人権を尊重する責任があるが、グーグルは、自社のビジネスモデルがユーザーの権利をどう保護できてるかを十分に示しているとは言い難い。
グーグルや他の大手テック企業に個人情報を開示せずにインターネットを利用することは、極めて難しい。たとえこれらのサービスに登録せず、個人情報の侵害やその収益化に同意していない場合であっても、それは変わらない。
グーグルの広告サービスが違法な独占とみなされた今、人権を尊重する形で構造的に解体する方向へ進むことがグーグルには求めらる。
背景情報
米司法省は、グーグルに対してオンライン広告市場の独占的立場を維持し、競合他社を排除し、利用者が人権を尊重する代替手段を利用できない状況になっているとして非難した。
2016年、グーグルはプライバシーポリシーを変更し、自社のマーケティングプラットフォーム間でのデータ統合を可能にした。この変更により、ユーザーのオンライン活動から密かに収集した高度に個人的な情報に基づいて、個別に広告を最適化することが可能となった。
米国司法省は、グーグルは全米の広告業界の87パーセントを支配していると主張する。競合が存在する市場であれば、インターネットの利用者はプライバシー侵入を拒否できるかもしれないが、他の選択肢がなければ、グーグルによる利用者情報収集と収益化を受け入れざるを得ない状況となる。
司法省は最近、グーグルを相手取った別の独占禁止法訴訟でも勝訴した。ワシントンDCの裁判所は、グーグルがオンライン検索市場を違法に独占しているとの判断を示した。救済措置に関する判断は現在、両方の訴訟で審理中であり、Googleが分割命令を受ける可能性がある。同様にEUでのアドテク(広告配信最適化技術)に関する裁判も判決待ちの状態にあり、英国でも訴訟が提起されている。
アムネスティ国際ニュース
2025年4月17日
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