- 2025年6月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:
トランプ大統領が、ICE(移民・関税執行局)の強制捜査への抗議活動に対しロサンゼルスに国家警備隊(州兵)を派兵したことは、極めて懸念すべきことだ。トランプ政権が、手段をいとわず、人権擁護を主張する人びとを標的にし、罰しようとしていることを示す。
武装したICEの捜査官が、令状を示すことなく地域社会を摘発し、国際サービス従業員労働組合(SEIU)のカリフォルニア州委員長を逮捕する中で、ロサンゼルスの人びとは移民の友人や隣人を支援するために街頭へ繰り出した。
州兵の派兵は州の要請なしに行われた。トランプ政権のもとでは、違法な逮捕、大量拘束・大量送還、追放先の国での収監、表現の自由の抑圧、家族引き離し、適正手続きの否定など、すでに人権侵害が横行しているが、この件は事態が深刻化していることを浮き彫りにする。
抗議活動の取り締まりに軍人や法執行機関を利用することがいかに危険かは、わかりきったことだ。2020年6月、ラファイエット公園では、抗議活動取り締まりの訓練を受けていない部隊や連邦捜査官が、市民を暴力的に強制排除した。軍人は群衆制御や対立緩和の訓練を受けてはおらず、抗議活動の取り締まりに投入すべきではない。
ICEの摘発作戦自体、差別、人種プロファイリング、組織的な権利の侵害に根ざしており、人びとにはこうした不正義に抗議する権利がある。その権利を軍事力で抑圧することは、人権と対極にある行為だ。
米国政府は行動を改めるべきだ。アムネスティは当局に対し、対立緩和を急ぎ、州兵の派遣を中止し、平和的な抗議の権利を尊重するよう求める。またトランプ政権に対し、社会を分断する大規模な強制送還を直ちに中止するよう求める。真の解決策は、すべての人の尊厳が尊重され、安全が確保され、社会が強化されるような、人道的で権利尊重に基づく公正な移民制度を構築することにある。
アムネスティ国際ニュース
2025年6月9日
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