イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:戦争犯罪調査の期限迫る

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2010年1月 8日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
1年前のガザとイスラエル南部で起きた紛争で戦争犯罪を行った人びとに責任を取らせる作業が実際に進んでいるかどうかをイスラエルとハマスが示す期限まで、残り1カ月足らずとなった。国連が設定した2月の締め切りに先立ち、アムネスティ・インターナショナルはそのように警告した。

2009年11月、国連総会はイスラエルとハマスに対して、2009年1月18日に終結した22日間の紛争の間になされたという申し立てのあった戦争犯罪および人道に対する罪と疑われる行為について、2月2日までに国際基準に合致した調査にとりかかる意思とそれが可能であることを示すよう伝えた。

「時計の針は回っている。もし両者が自らの行いを正す行動を起こしているという実際の証拠を示せないのであれば、加害者に責任を取らせ、被害者たちが金銭賠償を含む十分な補償を得られるようにする手段を、国際社会が取る必要がある」と、アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ部長マルコム・スマートは述べた。

もし調査が必要な基準を満たさない場合、国連安全保障理事会が事態を国際刑事裁判所(ICC)に付託することを含めて、犯罪を犯した人びとを裁判にかけるのは国際社会の責任である。

「ICCに付託する必要を生じさせるよりも、重大犯罪に対する説明責任を確保する国際法の下での自らの義務をイスラエルとハマスが果たす方がはるかに良いことである」と、マルコム・スマートは述べた。

さらにマルコム・スマートは、「イスラエルをかばう米国とヨーロッパ諸国の政府や、ハマスに影響力を持つアラブ諸国の政府はともに、もし各当事者が責任を逃れようとし続けるなら国際社会が介入することを明示しつつ、それぞれに義務を果たすよう促すべきである」とも述べた。

2009年の紛争中に行われた戦争犯罪および人道に対する罪と疑われるものも含むその他の重大な違反行為についての南アフリカのリチャード・ゴールドストーン判事による国連受託報告書の公表を受けて、アムネスティはイスラエル当局とハマス両者に対し、国際基準に合致する信頼できる独立した国内調査基準を記載した文書を送付した。

イスラエルとハマスによる調査はこのような基準に照らして査定されなければならない。この基準には、調査機関が中立的であるとともに能力および専門性があり独立している必要があること、またこの調査機関がすべての関連する情報源にアクセスできること、などがある。

リチャード・ゴールドストーン判事に率いられた国連の事実調査団は、両者が戦争犯罪とその他の重大な国際法違反を行った証拠を見つけた。今までのところ、どちら側も信頼できる調査を行おうとする意思を示していない。

「1年前の武力衝突以来、行われてきた調査は、イスラエルが自らの軍の行為について行ったものだけである。残念ながらその調査は国連総会が規定した国際基準に合致しておらず、秘密裏に行われたものだ。調査に信頼性を持たせるためには、中立的、独立的、徹底的で、かつ透明性がなければならない」と、マルコム・スマートは述べた。

ガザでのイスラエルの無差別攻撃によって殺された数百のパレスチナ民間人の中には、300人を超える子どもたちがいた。ハマスを含むパレスチナ武装グループによる国際法違反のロケット攻撃で、3人のイスラエル民間人が殺された。

これまでにイスラエルによって行われた調査は、必須の基準の多くを満たしていない。実行された限定的な調査の責任者は軍の将校たちであり、調査の対象となっているのと同じ組織である。調査の過程も不透明になっている。どのような査定のもとに行われ、どのケースの調査が開始されどれが調査を終えたのかも分からない。これまでに国際法違反での起訴はまったくなされていない。唯一結果として示されたのは、国際法の重大な違反との申し立てのほとんどは根拠のないもので、その他は作戦上のミスの可能性があるというイスラエル軍の発表だった。

他方、ハマスは調査しようという真摯な姿勢も示していない。ガザの事実上の統治者であるハマスは、イスラエル南部の民間人地域への無差別のロケット弾発射を停止しているが、一時的な措置に過ぎず、ゴールドストーン判事が戦争犯罪と言明したロケット弾攻撃を完全にやめてはいない。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年1月4日