- 2010年4月 5日
- [日本支部声明]
- 国・地域:中国
- トピック:死刑廃止
外務大臣 岡田 克也 殿
現在、中国政府が、麻薬密輸罪で死刑判決が確定した赤野光信さんに対する死刑を4月6日に、また同じく死刑判決が確定している武田輝夫さん、鵜飼博徳さん、森勝男さんに対する死刑を8日に執行する予定であると報じられております。
私たちアムネスティ・インターナショナル日本は、世界中の270万人以上にのぼるアムネスティの会員・支援者とともに、中国の死刑の状況について深く憂慮しております。そして、日本政府に対し、直ちに、6日および8日に予定されている死刑執行の停止を中国政府に申し入れるよう、強く要請いたします。
今回の死刑執行に関し、鳩山首相は、30日に「このようなことになるのは大変残念なことだ」と述べ、遺憾の意を表明したと報じられております。また、外務省によると、岡田外務大臣は、2日、程永華駐日中国大使に対し、「…いかなる犯罪にいかなる刑を科するかは中国国内の司法に関する問題であり、基本的には中国の国内事項に属する問題であるとしつつ、これまでの累次にわたる我が国からの懸念表明にもかかわらず、4名の死刑執行が決定されたことに対し、我が国国民感情に与える影響をふまえ、我が国政府としての懸念を表明」したと発表されております。
中国の死刑制度については、透明性の欠如、政府の厳格な対応を誇示するための恣意的な死刑執行、死刑適用犯罪が広範囲に渡ること、国際基準に沿った公正な裁判がまったく行われていないことなど、以前から深刻な懸念がもたれております。こうした状況は、自由権規約や中国が批准している拷問等禁止条約などの国際人権基準に明確に違反するものです。また、2007年および2008年に、国連で100カ国以上の圧倒的多数で採択された、全世界的な死刑の執行停止を求める総会決議にも反しています。
日本は、国際人権諸条約の遵守を誓約している国連人権理事会の理事国として、死刑の執行を黙認するべきではありません。普遍的かつ重大な人権問題として、中国政府に対し死刑問題に関する懸念と6日および8日に予定されている死刑執行の停止を求めて、あらゆる外交的努力を尽くされるよう要請いたします。また、合わせて以下の改革を中国政府に求めるよう、要請いたします。
• 死刑の廃止を視野に入れて、あらゆる死刑の執行を直ちに停止すること
• 死刑に関する秘密主義を止め、死刑の判決数や執行数など、死刑の適用に関する統計を全面的に公開すること
• 経済犯罪や薬物関連犯罪などの暴力をともなわない犯罪を、死刑適用犯罪から除外すること
• 公正な裁判を受ける権利を保障するとともに、死刑を求刑されている人びとを含むすべての被拘禁者に対する拷問の絶対的な禁止と、拷問によって得られた自白の排除を保障すること
• 恩赦に関する法手続きを導入すること
最後に、日本政府自身も、全世界的な死刑の執行停止を求める総会決議に従い、死刑の執行停止を宣言されるよう要請いたします。
2010年4月5日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
理事長 藤田 真利子
101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2 共同ビル(新錦町)4F
TEL. 03-3518-6777 FAX. 03-3518-6778
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