イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエルの核の内部告発者、再び独房監禁に

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:イスラエルの核の内部告発者、再び独房監禁に
2010年6月22日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:危機にある個人
投獄されているイスラエルの核の内部告発者、モルデハイ・バヌヌが独房に監禁されている。アムネスティ・インターナショナルはイスラエル当局に対し、この処遇が残虐、非人道的あるいは品位を傷つけるものであると非難した。

1986年に英国の新聞にイスラエルの核兵器工場の詳細を暴露したために18年間服役した56歳のモルデハイ・バヌヌは、5月23日、外国人と接触したという罪状で、3カ月間再び服役することとなった。そして収監直後に独房に監禁された。アムネスティは彼の即時無条件釈放を要請する。

「そもそもモルデハイ・バヌヌが投獄される理由はまったくない。まして、暴力犯罪者収容棟に独居拘禁されるいわれはない。彼は1986年に投獄されてから11年間独房に監禁されて、大いに苦しんだこともあり、彼をまたしてもそのような状態に戻すことは、残虐で非人道的、あるいは品位を傷つけることに他ならない」と、アムネスティの中東部長マルコム・スマートは述べた。

バヌヌは現在、イスラエル中部のアヤロン刑務所に拘禁されている。弁護士はアムネスティに対し、他の囚人から保護するためというのが、独房監禁の表向きの理由であると述べた。

バヌヌは長年にわたり、イスラエルの一部のメディアや政治家たちに、核兵器開発の詳細を暴露した国家の裏切り者、敵とみなされており、本人によれば、殺害の脅迫を受けたこともあると言う。

「モルデハイ・バヌヌは良心の囚人である。刑務所当局は他の囚人たちからの襲撃の危険から守るために独房に入れたと主張するかもしれないが、もしイスラエル政府が本当に彼の安全を懸念するならば、直ちに彼を釈放すべきである。彼を再投獄したことは苛酷な措置であり、正当化することはできない」とマルコム・スマートは述べた。

南部の町ディモナの近くにあるイスラエルの核施設の元技術者であったバヌヌは、イスラエルの核兵器工場の詳細を英国の新聞『サンデー・タイムズ』に暴露した。

その後、1986年9月30日にイタリアでモサドの諜報員に拉致され、密かにイスラエルに連れ戻された。そして裁判にかけられ、18年の刑を言い渡された。このうち最初の11年間は、独房監禁だった。

2004年に釈放されてから、バヌヌは厳しい軍令に基づき、警察の管理下に置かれている。この処分は、半年ごとに延長されている。

この軍令によって、バヌヌはジャーナリストを含む外国人との通信を禁止されている。国を離れることもできないし、外国の大使館に近づくことも禁じられている。また、住所を変えたい場合は、当局に知らせなければならないことになっている。

「イスラエル当局はモルデハイ・バヌヌに対し、移動、表現、結社の自由の権利を恣意的に制限している。これは国際法違反であり、このような制限は解除されなければならない。バヌヌは自由な人間として人生をやり直すことが許されるべきである」。マルコム・スマートはそのように語った。

2010年6月17日、モルデハイ・バヌヌの弟、メイヤー・バヌヌはアムネスティに対し、「再び独房に収監され、嫌がらせにあうことは、兄にとって大変な苦痛です。以前、18年の刑期に服していた時と同じ状態であり、24年に及ぶ苦しみの末にこんな処遇をすることへの正当な理由は何もありません。私たちは兄の健康状態が悪化するのではないかと心配しています。今こそ兄が真の自由を得る時であり、出国が許可されるべきです。そもそも最初から、兄はこのような状況に置かれるいわれはなかったのです」と語った。

アヤロン刑務所の暴力犯罪者収容棟での拘禁状態は過酷で、バヌヌが独房を出ることができるのは、刑務所の庭を1日1時間散歩する時だけである。

現在バヌヌは、外部に電話をかける際には、刑務所当局に相手についての情報を提出しなければならない。しかし彼はそのような情報を提供することを、主義として拒否している。そのため、今回収監されて以来、友人や家族との通信が途絶えている。

バヌヌと面会する機会を得たバヌヌの弁護士であるマイケル・スファードは、アムネスティに対して次のように述べた。「モルデハイ・バヌヌは孤独な状況に置かれている。他人から敵視されていることを理由に、代償を払わされるべきではない」。


アムネスティ発表国際ニュース
2010年6月18日