日本:難民申請者の生活保障のための措置を求める申し入れ

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2010年9月 7日
[NGO共同声明]
国・地域:日本
トピック:難民と移民
外務大臣 岡田克也 殿

昨今の難民申請者の急増に伴い、申請者への唯一の生活支援金である保護費(外務省が財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(RHQ)へ委託して支給)の予算が不足し、多くの難民申請者が、2009年4月以降、何らの保護も受けられないという事態が発生しました。

支援団体はこの事態を受け、「難民申請者の生活保障のための措置を求める申し入れ」を2009年5月12日と10月13日に行うと同時に、2009年4月末から9月末まで「難民支援緊急キャンペーン」を通じて寄付を募り、難民申請者372名に対して、計26,694,892円の支援金を支給しました。さらに、同キャンペーン終了後も、生活に困窮している難民申請者への支援を含めると3,000万円を超える支援を行ってきました。

関係者の皆様のご尽力により、2009年度は保護費の予算が増額され、また今年度も、財政状況が厳しい中、予算増が実現されたことを心より感謝しております。また、関係省庁とNPOの協議会を通じて、関係者間で理解を深めることができました。

しかしながら、保護費が多くの申請者にとって命綱となっている状況は変わらず、いまだに多くの難民申請者が保護費の支給を待っている状況です。加えて、2011年度予算の概算要求基準において、社会保障費などを除いた経費を各省庁が一律1割削減することが盛り込まれたことにより、支援団体として保護費予算の拡充に危機感を持っていることから、この度の申し入れに至りました。

この間、法務省からも仮放免の弾力運用が発表されるなど、官民が連携して難民申請者の生活を支えていくことへの機運が高まっていると強く感じています。NPO側も難民申請者を支えるという「新しい公共」に取り組むことにより、「支え合いと活気のある」社会の構築へ微力ながら尽力したいと考えています。

つきましては、申請者にとっての命綱ともいえる保護費につきましては、来年度も今年度以上の予算を確保して頂くとともに、難民申請者の保護措置への迅速なアクセスを確保し、彼らの最低限の生活を保障するため、外務大臣に対し下記事項の通り申し入れをさせていただきます。

なお、まもなく第三国定住による難民の受け入れが開始されますが、彼らが日本語教育を含む半年間の定住支援を受けられるのに対し、同じような状態ですでに滞在している人道配慮による在留許可を受けた人への支援は一切ないままです。これについても平等な扱いをしていただけますようお願い申し上げます。この点、及び、第三国定住全体の提言については追ってご提案をさせていただきます。



1.来年度、保護費予算が不足し、支援を必要とする難民申請者の最低限の生活が保障されないという事態が二度と発生しないよう、十分な保護費予算の確保をしてくださいます様お願いいたします。

2.困窮状態にある難民申請者が迅速に保護措置にアクセスできておりません。支援団体の調査によると、住居のない人が1カ月、それ以外の人では2カ月から4カ月の間、保護費の支給を待っている状況です。保護費支給に関する手続の簡略化及び支給現場レベルでの実務者会合の開催をしてくださいます様お願い申し上げます。

3.今後の保護費の支給が現在の生活保護と同等レベルで実施されるよう、さらなる見直しをしてくださいます様お願い申し上げます。また、現状では難民認定審査期間が平均13カ月※(加えて異議申立ての手続きに半年間以上)と長期間に及んでおります。法務省は難民認定審査期間を6カ月を標準処理期間とすることを決定しましたが、その間及び異議申立てにかかる期間も、申請者が保護費に依存することなく、自立した生活を送れるよう、申請から一定期間が経過した申請者に対しては、就労許可が得られるよう、法務省等関係省庁への働きかけをしてくださいます様お願い申し上げます。

以上

2010年9月7日

申し入れ団体
社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
カトリック東京国際センター
全国難民弁護団連絡会議
社会福祉法人 さぽうと21
難民・移住労働者問題キリスト教連絡会
特定非営利活動法人 なんみんフォーラム
社会福祉法人 日本国際社会事業団
社団法人 日本福音ルーテル社団
特定非営利活動法人 難民支援協会

※法務省報道発表資料 2010年7月16日「難民認定審査の処理期間にかかる目標の設定と公表について」