日本:茨城県の非正規就労外国人に関する「通報報奨金制度」実施の見直しを再度要請します

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2026年4月30日
[NGO共同声明]
国・地域:日本
トピック:表現の自由

茨城県知事 大井川和彦 殿

貴県は、2026年4月22日、非正規就労の外国籍者を雇用する事業者摘発のために通報者に報奨金を支払う「通報報奨金制度」を2026年5月11日から開始すると発表しました。これに対し、アムネスティ・インターナショナル日本は、人権保障の観点から強い懸念を表明します。

本制度は、通報に対して経済的インセンティブを付与することにより、市民による通報行為を積極的に誘導する構造を有しています。非正規就労の判断には高度な法的専門性が求められるため、通報者に十分な判断能力が担保されない場合、結果として通報対象の特定が外見、言語、国籍等の属性に依拠して行われる「レイシャル・プロファイリング」を誘発する可能性も否定できません。このような仕組みは、誤認に基づく通報や偏見の助長を招くおそれがあり、とりわけ外国人に対する差別やプライバシー侵害のリスクを高めることが懸念されます。これは、対象を事業者に限定しても解消されないものであり、日本が批准する自由権規約や人種差別撤廃条約が禁じる差別的取り扱いの助長に他なりません。

貴県は、すでに多方面から指摘を受け、本制度を含む「茨城県不法就労活動の防止に関する条例(案)」に関して県民から意見を募るパブリックコメントを2月24日から3月25日にかけて行いました。しかし、寄せられた多岐にわたる意見に対し、具体的な見解の公表や制度への反映というプロセスが見えない中で、この制度運用開始を表明したことは、パブリックコメントによる住民参加のプロセスを形骸化させるものであり、行政運営としての手続き的正当性を著しく欠くものです。

本制度のように社会に重大な影響を及ぼし得る施策については、その目的の正当性のみならず、手段の相当性および手続きの適正が厳格に問われなければなりません。今回の一連の進め方は、これらのいずれの観点からも、行政への信頼を揺るがし、市民参加の意義を根底から破壊しかねない重大な問題をはらんでいます。

以上を踏まえ、アムネスティ・インターナショナル日本は、貴県に対し、当該制度の実施を一旦停止することを強く求めます。その上で、パブリックコメントに寄せられた住民の賛否の声を真摯に受け止めるとともに、国際人権基準に則った十分な再検討と、透明性の高い開かれた議論を尽くすよう、重ねて要請いたします。

2026年4月30日
アムネスティ・インターナショナル日本
※この件に関するお問い合わせ:camp@amnesty.or.jp