日本:「国旗損壊罪」創設は表現の自由を不当に制限 方針撤回を強く求める

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2026年6月25日
[日本支部声明]
国・地域:日本
トピック:表現の自由

現在、国会において、日本の国旗の損壊行為に刑事罰を科す「国旗損壊罪」創設の動きが進んでおり、今国会での成立を目指す方針が報じられています。アムネスティ・インターナショナル日本は、この拙速な法制化の動きに対し、国際人権法および日本国憲法が保障する「表現の自由」を不当に制限する恐れがあることから、強く反対を表明します。私たちは、国旗に敬意を払う自由を否定するものではありません。しかし、表現は、たとえ一部の人びと、あるいは多くの人びとにとって、不快あるいは侮辱的と受け止められるものであっても、それだけで処罰されるべきではありません。国家やその象徴に対する賛同だけでなく、批判や抗議を表明する自由が同時に保障されねばなりません。

与野党4党が共同でこの6月に国会に提出した刑法改正案では、「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した」場合には、処罰されると書かれています。これは単なる財産の保護ではなく、国旗の象徴的価値を損なったり、国家への敬意を欠くという理由で、特定の表現に刑事罰を科そうとするものです。

国家やその象徴に対する、批判を含む政治的・象徴的な表現は、自由権規約第19条および関連する国際基準(自由権規約委員会一般的意見第34号を含む)によって保護されています。日本も法的に拘束される自由権規約の監視機関である自由権規約委員会は、公的人物や公的機関に関する政治的・公共的な議論において、表現の自由が特に高い価値を持つことを強調しています。また、国旗や国家的象徴への不敬などを対象とする法律について懸念を表明しています。

日本国憲法第21条も一切の表現の自由を保障しています。「国家への敬意の欠如」を理由に処罰を科そうとする発想は、憲法第21条、および個人の尊厳を尊ぶ憲法第13条の理念と矛盾します。国家は市民からの尊敬や忠誠を刑罰によって強制するべき存在ではありません。なお、日本の現行刑法92条は外国国章損壊等罪を定めていますが、これは良好な国際関係を維持するためであって、決して自国の威信を高めるためではありません。

アムネスティ・インターナショナル日本は、国旗や国家的象徴への侮辱・不敬を禁止する法律には明確に反対の立場をとっており、この立法が単に国旗の問題にとどまらない可能性も懸念します。国家の象徴に対する「侮辱」や「不敬」を処罰する考え方が広がれば、将来的には、かつての不敬罪のように、国家元首や政府高官、あるいはその他の国家的象徴に対する批判的表現をも刑事罰の対象とする立法へと拡大する危険性を否定できません。このような動きは、社会に不可欠な政治的言論の自由を著しく萎縮させるリスクを伴います。

私たちの社会において必要なのは、異論や抗議を含む多様な意見が自由に表明される環境を保障することです。表現の自由に対する制限は、国際人権法上、目的が正当であり、かつ、その制限が本当に必要で、目的に対して過度な制限になっていないという「必要性」と「比例性」の厳格な要件を満たさなければ認められません。さらに、暴力、憎悪、差別の扇動など、極めて限定的な場合を除き、表現は保護されなければなりません。本法案については、その要件を満たしているとは到底考えられません。

アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府および国会に対し、国際人権法および日本国憲法が保障する表現の自由を尊重し、本法案の今国会における成立方針を撤回するよう強く求めます。

2026年6月25日
以上