- 2011年2月24日
- 国・地域:リビア
- トピック:変革を求める中東・北アフリカ
国連安保理の対応は、リビアで急激に悪化する暴力を止めるのに必要な域にまったく達していなかった。アムネスティは、即時の武器禁輸措置と資産の凍結などを含む、断固たる行動を安保理がとるよう求めた。
国連安保理は22日、リビアに暴力をやめるよう呼びかけ、行動の抑制と人権の尊重を求める声明を発表したが、実効的な措置はなんら伴っていない。
アムネスティはまた、アフリカ連合がリビアにおける人道上の危機に対応するために平和・安全保障理事会を招集していないことも批判した。
アムネスティ・インターナショナル事務総長サリル・シェティは、次のように語った。「カダフィ大佐は、自分が権力の座にとどまるためには反対派を殺す用意があると明らかにしています。こんなことは受け入れられません。カダフィ大佐とその指揮下にある人びとには、現在彼らが実行している犯罪について、国際法のもとで個人的に責任を問われることになると知るべきです。」
「カダフィ大佐の脅しと見比べれば、国際社会からの熱のこもらない対応はさらに衝撃的に思えます。今、リビアの人びとが必要としているのは、憂慮を語るただの言葉ではなく、具体的な行動なのです。」
国連安保理が最低限しなければならないことは、リビアへの即時武器禁輸と、カダフィ大佐と主要な治安・軍事顧問への資産凍結であるとアムネスティは主張している。
カダフィ大佐が演説し、その中で抗議者たちを「ゴキブリ」「ネズミ」呼ばわりし、現在の状況を中国の状況になぞらえ、国家の一帯性は「天安門広場の人びとよりも重要」だったのだと言ったことを受け、アムネスティは安保理に呼びかけている。
アムネスティはまた、危機を増大させたことについてアフリカ連合を批判した。アフリカ連合はこれまで数百人が殺されていたことを知っていたし、カダフィ大佐が自分への抗議を暴力的に弾圧するためにアフリカ諸国から外国人傭兵を集めているという報告も受け取っていた。
「アフリカ連合平和・安全保障理事会は、加盟国で起きている緊急事態について議論するための会合を開いてもいないのです。まったく信じられない話です」とサリル・シェティは語った。
アムネスティは、アフリカ連合が責任を持って加盟国、とくにリビアの隣国にリビアの人権侵害に加担させないようにすることを求めた。
また22日、リビアに連盟の会合への参加を禁止したアラブ連盟に対しては、即座に公約どおりに行動することを求めた。なかでも、リビアにおける危機の調査委員会を発足させることである。
アムネスティ・インターナショナルは以下を要求する。
・ 国連安全保障理事会に対して:即座にリビアへの武器禁輸を実行して装備と人員の移動を防ぎ、カダフィ大佐と主要な軍事・治安顧問の資産を凍結し、リビアにおける国際法のもとでの犯罪は調査され処罰されることを明言すること
・ アフリカ連合と加盟国家に対して:アフリカ諸国からリビアに向けて武装分子が移送されているという報告を調査し、リビアへの内陸国境を警備し、疑わしい航空機を監視すること
・ 国連総会に対して:リビアの人権理事会理事国資格を停止すること
・ 国連人権理事会に対して:リビアに調査団を派遣し、人権侵害に関する緊急勧告をだすとともに、国際刑事裁判所への付託の可能性を検討すること
・ リビアと近隣諸国に対して:リビアを出国したい人びとの安全な出発を支援すること
(訳者注)
上記声明を発表後間もなく、アフリカ連合は平和・安全保障委員会の緊急会合を開き、リビアに調査団を派遣することを決定したと報道されている。アムネスティ・インターナショナルは調査団派遣を歓迎し、調査団がアフリカ諸国からリビアに武器が輸送されているという報告について十分な調査をするよう、強く求めている。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年2月23日
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