イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:国連は、ゴールドストーン報告書の取り消しを求めるイスラエルの要請を拒むべき

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:国連は、ゴールドストーン報告書の取り消しを求めるイスラエルの要請を拒むべき
2011年4月12日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
ガザ紛争に関する国連事実調査団の報告書を取り消すようイスラエル政府が国連に要請していることは、戦争犯罪の説明責任から逃れ、2008年から2009年にかけての紛争犠牲者に対する正義を否定するための企てであると、アムネスティ・インターナショナルは4月7日に述べた。

先週、ワシントン・ポスト紙にガザ紛争についての国連事実調査団を率いたリチャード・ゴールドストーン判事の意見記事が掲載された。これを受けて、イスラエルは、およそ1400名のパレスチナ人が殺された22日間の紛争における自国の行動は、正当化されるものであると主張している。

「イスラエルの主張は、ワシントン・ポスト紙のリチャード・ゴールドストーン判事のコメントに対する意図的な歪曲です」と、アムネスティの中東・北アフリカプログラムのフィリップ・ルーサー副部長は述べた。

「国際社会は、リビアやスーダン、その他、戦争犯罪と人道に対する罪の可能性のある行為がなされた状況においてそうしたように、説明責任を免れようとするこれらの企てをきっぱりと拒絶し、国際的な司法解決のために決然とした行動を取らなければなりません」

「国連総会はゴールドストーン報告書が安全保障理事会にできるだけ早く提出されるよう保障すべきです。そうすることで、国際刑事裁判所にこの状況を付託すべきかどうかを同安保理が検討できます」

事実調査団が検証した一連の事件に関し、イスラエル軍が民間人を意図的に標的としたかどうかについて、ゴールドストーン判事の意見記事が疑問を呈した。これを受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相や他の大臣たちは、報告書すべてを取り消すよう求めている。

イスラエルのエリ・イシャイ内相は、月曜日の電話の会話の中で、ゴールドストーン判事が報告書の取り消しのために動くと言ったと主張している。しかし、ゴールドストーン判事は火曜日、そのような約束はしていないと語った。

事実調査団の他の3名のメンバーのうち少なくとも2名は、元の報告書の内容を変更することはないと述べている。

「意見記事でのコメントは、国連人権理事会と国連総会双方が討議し支持した国連報告書をくつがえすのに十分な法的根拠となるものではありません」と、フィリップ・ルーサーは述べた。

「それと同じく、およそ300名の子どもたちを含む約1400名のパレスチナ人たちがイスラエル軍によって殺されたこの紛争において、政策を決定した戦争内閣の構成員たちを含むイスラエルの政治指導者たちの自己利益のための要請も、そのような法的根拠にはなりません」

「報告書の取り消しは、ガザのハマスの軍事部門や他のパレスチナ武装グループによる、イスラエル南部への数百発の無差別ロケット弾及び迫撃砲弾の攻撃に苦しんだイスラエルの紛争犠牲者のための司法解決のいかなる可能性も否定してしまうものです」と、フィリップ・ルーサーは述べた。

2009年9月の報告書で、ガザ紛争についての国連事実調査団は、双方が戦争犯罪や人道に対する罪の可能性のある行為など重大な国際法違反をしたと認定した。

報告書はイスラエルとパレスチナの当局に対して、申し立てられている戦争犯罪についての、信頼性のある独立した調査を6カ月以内に行なうよう求め、さもなければ国連安全保障理事会が国際刑事裁判所に付託する可能性があるとしていた。

紛争から2年あまりが過ぎたが、事実上の統治者であるハマスはパレスチナ武装グループによってなされた違反行為を調査せず、実行者に責任を取らせることもしていない。

アムネスティはイスラエル軍の調査を監視し、その調査が独立したものでなく、迅速性、有効性、透明性という主たる国際基準を満たしていないと結論づけている。


▼2009年9月のガザ紛争についての国連事実調査団の報告書は下記から入手できる(英文)。
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/specialsession/9/FactFindingMission.htm

▼イスラエルとパレスチナの調査へのアムネスティの最新評価は以下から入手できる(英文)。
http://www.amnesty.org/en/library/info/MDE15/018/2011/en

▼独立専門家委員会の報告書は以下から入手できる(英文)。
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/docs/15session/A.HRC.15.50_en.pdf
および
http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrcouncil/docs/16session/A.HRC.16.24_AUV.pdf


アムネスティ発表国際ニュース
2011年4月7日