- 2011年10月14日
- 国・地域:セルビア(コソボを含む)
- トピック:性的指向と性自認
セルビア国家安全委員会は、極右グループから治安上の脅迫を受けたことを理由に、「プライド・パレードは開催されないだろう」と発表した。極右グループは、このイベントを開催すれば、街を襲撃し、放火すると当局を脅迫していたと伝えられている。
「2009年と同じように、セルビア当局は極右グループからの圧力に屈し、セルビアの憲法と法律に定められている表現の自由の権利を理解し、尊重することを怠りました」と、アムネスティのバルカン地域調査員サイアン・ジョーンズは述べた。
プライド・パレードの開催の禁止は、セルビアの人権にとって大きな後退を意味し、またプライド・パレード開催の妨害を画策してきたドゥヴェリやオブラズといった極右の国家主義グループに、政府が大きく譲歩してしまったことを示す、とアムネスティは考えている。
「今回も政府は、プライド・パレードの主催者を支持し、彼らの権利を守る代わりに、パレード開催を取りやめるよう主催者に圧力をかけることを選びました。セルビアにLGBTの象徴である虹色の旗がはためくはずの日が、セルビアの人権の暗黒日となってしまったのです」とサイアン・ジョーンズは語った。
ベオグラードでプライド・パレードの開催が企画されたのは、今回が4回目である。2010年には、パレード開催に反対する5000人の暴徒から、警察がパレードの参加者を保護した。その際、建物などが破壊され、被害総額は100万ユーロ以上だったとされている。2009年は、極右勢力からの脅迫に伴い、当局が直前になってプライド・パレードの警備を拒否したため、パレードは開催されなかった。
ベオグラード市長は、このイベントは、「ベオグラード市の財産や同性愛者、警官、そして市民を危険にさらすものである」として、パレード開催への支持を拒否している。
プライド・パレードを禁止したことは、表現と集会の自由を保障するというセルビア政府が果たすべき義務を怠るものであると、アムネスティは考えている。さらに、同性愛嫌悪グループからの脅迫という状況下でのパレード禁止は、LGBTの人びとの権利を否定するようなグループを公認し、差別されない権利を傷つけるものであると危惧している。
「このたびの禁止の決定は、セルビアの人権にとって大きな後退であり、右派国家主義勢力、とくにドゥヴェリやオブラズといった、プライド・パレード妨害を画策していたグループへの最悪の譲歩でもあります」と、サイアン・ジョーンズは繰り返し語った。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年9月30日
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