- 2011年11月 7日
- 国・地域:セルビア(コソボを含む)
- トピック:先住民族/少数民族
「弱者のための地域センター」の活動家2人は、警察がメヴュード・カーテシと彼女の6人の子どもたちを自宅から立ち退かせようとするのを、穏便に阻止しようとした結果、公務執行妨害で逮捕された。
「強制立ち退きは、セルビア当局による不法かつ非人道的な行為です。活動家たちは、強制立ち退きを求められた家族の人権を、守ろうとしただけなのです」とアムネスティ・インターナショナルの欧州・中央アジア部長ニコラ・ダックワースは述べた。
「当局はメヴュード・カーテシと彼女の子どもたちに、適正な代替住居を与えなければなりません」
目撃者の話によると、活動家2人は、カーテシの地下の住居のドアから立ち退くのを丁重に拒否したところ、逮捕されたという。彼らは後に釈放されたが、公務執行妨害に問われ、懲役を下される可能性がある。
当局は、メヴュード・カーテシに立ち退きの理由を一切知らせておらず、代替の住居も与えていない。
強制立ち退きの後、彼女の所持品はトラックに積まれ、ベルビルにあるロマの無認可の集落に運ばれた。同地では、彼女と家族は親類と一緒に住むほか選択肢がない。また立ち退きは、ベルビルでも予定されている。
彼女と彼女の子供たち(そのうちの数人は、靴もなく裸足だった)が ベルビルに向かうバスを待っている間、近隣の人びとは、彼女たちをやじったり、拍手したりしたと報じられている。
「私たちは、弱者の権利をまったく無視して遂行される強制立ち退きを、先月の1ヵ月間だけでも数件目にしてきました」とニコラ・ダックワースは述べた。
「適正な代替住居を与えもせず、シングル・マザーと子供たちを強制的に立ち退かせることは、セルビアの国際協定に違反しています」
メヴュード・カーテシとその家族は、1999年の戦争の後 コソボから強制追放させられた。国内で追放された他のロマの人びと同様、彼女も元の家に帰ることはできない。
彼女は、「アスベスト集落」として知られ、健康と安全性の理由で取り壊された住宅団地から引越した後、2006年に共同住宅を提供された。
警察とクカリカ当局によって執行された立ち退きは、人権擁護活動家とNGOが現地で抗議した結果、10月11日に延期されていたという経緯があった。
セルビア当局は、強制立ち退きを禁ずる法律を定めていない。同法律は、どのような形であれ、立ち退きが行われる前に、関連する国連指針と原則に明記されている手続きと保護対策を機能させるものである。
国連の人権擁護家に関する宣言は「すべての者は、個人であれ他者と共同であれ 人権と基本的自由の侵害に対する平和的活動に参加する権利がある」と定めている。
アムネスティ発表国際ニュース
2011年10月25日
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