- 2013年9月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:強制立ち退き
巴溝(Bagou)村の家屋が商業目的の土地開発のために取り崩しが迫っている。1人の居住権活動家とその家族もその犠牲者だ。(C)Private
中国当局は、北京郊外の巴溝(Bagou)村の最後まで抵抗を続けている住民を、間もなく強制的に立ち退かせる計画だが、これは中止すべきである。土地開発のために家屋が取り壊されようとしているのだ。立ち退きの危機にさらされている人には、居住権活動家とその家族がいる。
地方政府は住民を強制的に排除する作業をすべて即刻中止すると同時に、すでに住居を失った数千人に十分な補償をすべきだ。2003年以降、5,000世帯以上が、脅迫と暴力を受けて村から追い出されている。
立ち退きと家屋破壊に反対する、地元では知られた活動家の韓頴(Han Ying)さんも、たびたび当局の脅迫の標的となってきた。7月からは巴溝村の警察官らしき者たちと雇われのやくざ者が頻繁に訪れ、「家をつぶすぞ」と脅迫したという。韓頴さんの年老いた母親は8月16日、家屋を解体しようとした警察との小競り合いで、負傷した。
事業経済的な利益のために適正な手続もなく住民を脅迫し追い出そうとする当局の行動は、言語道断である。
当局による数カ月にわたる嫌がらせを経て、先週、地方自治体は、村に残る6世帯に対して近日中に立ち退くよう通知を出した。立ち退きに対する不服申し立てが北京裁判所で係争中であるにもかかわらず、である。警察姿で暴動鎮圧用道具をもった者など、得体のしれない数十人が村に集まり、残った家を撤去すると脅した。
村民は、立ち退きをもくろむ当局から、見合った補償も、代替の住居も提供されていない。政府は家を失った家族に対し補償を提案しているが、その額は法律が定める基準を満たしておらず、住民は「到底受け入れられない」と拒否した。
強制立ち退きは明らかに国際法違反であり、韓頴さん家族やほかの住民は、この立ち退きが計画通り行われると家を失うことになる。彼女を含む巴溝の住民は、これまで数年にわたって当局から嫌がらせを受けてきた。
アムネスティ・インターナショナルは、中国において暴力的な強制立ち退きが増加していることを明らかにしてきた。これは地方政府が巨額の負債を穴埋めするため、土地を没収し不動産開発業者との裏取引で売却しているためである。
地方自治体は商業開発の財源として国営銀行から巨額の資金を借り受けてきたが、今その返済にあたって、土地売却を頼りとしている。そのためにやくざ者を雇って、住民を痛めつけ強制的に家から追い出すことも少なくない。
その結果、都心でも地方でも全国的に、強制立ち退きさせられた住民が、殴られ、嫌がらせを受け、投獄され、死亡する結果となっている。
アムネスティ国際ニュース
2013年9月11日
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