マレーシア:人権団体の非合法化は自由への挑戦

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2014年1月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:マレーシア
トピック:

国連人権理事会で、マレーシアの非政府人権団体連合が国内の人権状況を厳しく批判した。(C) Eric Bridiers/U.S
国連人権理事会で、マレーシアの非政府人権団体連合が国内の人権状況を厳しく批判した。(C) Eric Bridiers/U.S

マレーシアの内務省は1月8日、非政府人権団体連合のCOMANGOを「非合法組織」と認定した。これは表現の自由と結社の自由のはなはだしい侵害である。

同省は、COMANGOに加盟する54の団体のほとんどが「反イスラム」であり、国の認可を得ておらず、よって非合法組織だとしている。

マレーシアに国際人権法の遵守を要請する声が国際的に上がっているが、今回のNGO連合の非合法化には、この声を封じる狙いがあり、きわめて憂慮すべきことだ。

この動きに対して、COMANGOは、同組織は単一の組織ではなく異なるNGOから成り立つ連合であり、結社法の登録条件には当てはまらないと反論した。

COMANGOは2013年末の国連普遍的定期審査での検証に先立ってその年の3月に国連に報告書を提出しており、そのことで当局の怒りを買っていた。

その報告書は、国内の人権状況に関し当局が取り組むべきテーマを数多く指摘している。その中には、宗教の自由、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス(LGBTI)への差別、表現・集会・結社の自由などがある。アムネスティなどのNGOも、同国の普遍的定期審査に先立ち国連人権理事会に勧告書を提出し、同様の懸念を強調した。

今回、人権擁護団体に「非合法」のレッテルを貼ることで同国が取り組むべき人権侵害の課題がもう一つ増えたことになる。

宗教の自由は、審査中の議論の中で最も問題視されたテーマのひとつであり、数カ国がコメントと提言を出している。一方で政府代表は、公共の秩序を維持する上で必要だとして宗教的制限を擁護した。

マレーシアにはさまざまな宗教が共存するが、イスラム教徒は人口の60%を占め、憲法でイスラム教が国教に定められている。同国の法制度は慣習法に基づいており、シャリア(イスラム)法の適用は昔からイスラム教の実践に限定されていた。

当局が異論を封じる宗教団体に迎合する傾向が強くなる状況は、大変憂慮すべきことだ。

アムネスティ国際ニュース
2014年1月8日

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