- 2018年5月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:マレーシア
- トピック:
アンワルさん © Amnesty International
アムネスティが長年釈放を求めてきた元副首相のアンワルさんが5月16日、マレーシア国王から恩赦を受け、釈放された。背景には、5月の総選挙で勝利した政党連合・希望連盟を率いるマハティール新首相の誕生があった。
アンワルさんは、政治的な意図により同性愛と汚職の罪で過去2回、投獄されている。アムネスティは20年にわたり、アンワルさんの釈放に向けた支援活動をしてきた。
今回の釈放は、マレーシアの人権にとって画期的な出来事といえる。今こそ、新政権は、前政権が政権批判や人権活動を封じ込める根拠としてきた法律を撤廃するべきだ。
20年に渡る政治的迫害
アンワルさんは、政治的見解の相違により長年、勾留・投獄されてきた。
初めてアンワルさんが逮捕されたのは、1998年、副首相として政治改革を訴えていたときだった。副首相の座から失脚し、1999年に汚職罪に問われ、さらに2000年には同性愛行為の容疑を受け、勾留され続けた。アンワルさんは、いずれの容疑も一貫して否定してきた。
同性愛行為を問う裁判は、2008年に始まった。2012年に高等裁判所は無罪を言い渡したが、2014年、控訴裁判所は無罪を覆し、実刑5年の判決を下した。
2015年、最高裁判所にあたる連邦裁判所は上訴を退けたため、同性愛の有罪判決が確定した。受刑者は議員資格をはく奪され、総選挙に立つこともできない。しかし、マハティール首相がその資格の回復に向けて手を打つことを約束している。さらに、首相は、アンワルさんが恩赦で資格を回復し議員に選出されれば、自ら首相職を退き、アルワンさんにその職を譲ると宣言している。
アンワルさんの度重なる拘禁は、自由の表現と反政府的活動に対する取り締まりが拡大する中で起きた。
アムネスティは、アンワルさんが初めて逮捕された1998年から支援運動を開始し、多くの会員やサポーターが彼の釈放を求めて関係機関に手紙を書く活動に参加した。
今年初めまで、アンワルさんは野党連合の人民連盟の党首として事実上の野党のリーダーを務めてきた。
しかし、今回の総選挙を前に、過去60年近く政権の座にあったナジブ・ラザク首相の統一マレー国民組織を倒すべくマハティール陣営に加わった。
アムネスティ国際ニュース
2018年5月16日
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