- 2014年5月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
4月27日、移住家事労働者の搾取阻止を訴える要請書が、香港政府に届けられた。要請書には160カ国以上10万3,307人が署名している。
届けられたのは、注目の裁判が始まる数日前だった。裁判の被告は、インドネシア人家事労働者、エリウィアナ・スリスチャニンシさんの雇用主だ。
この要請に対してエリウィアナさんは、「私が受けた虐待のような経験は誰にもしてほしくありません。 ですから、香港政府に移住家事労働者の搾取を止めさせるよう求めることに賛成です。 私は、将来、女性が香港に来て、虐待を受ける心配をせずに働くことができ、また正当な賃金が支払われ、公平な扱いを受けられるよう願っています」と述べた。
アムネスティなどのNGOが働きかけて集まったこの署名は、張建宗労働福利庁局長に対して、香港の移住家事労働者の保護を強化する措置を迅速に取ることを要求している。 具体的な措置としては、以下を要求した。
- しっかりした権限を持つ主体的な機関を設置して、法外な手数料を徴収したり、パスポートを取り上げたり、不当賃金を奨励したりする仲介業者を監視し、調査し、罰すること
- 賃金や紹介手数料に関する政府運用の制度を導入し、仲介業者や雇用主が労働者から搾取できないようにすること
- 政府、労働者、雇用主の三者間でワーキンググループを設け、紹介手数料の合意に向けて協議するとともに「労働者は手数料負担をしない」という国際基準の順守に取り組むこと
- 失職後2週間以内に新しい働き先を見つけなければ国を去らなくてはならないという「2週間ルール」を撤廃し、他の移住労働者と同じ移民政策のもと家事労働者を平等に扱うこと
アムネスティの報告書やエリウィアナさんが雇用主から衝撃的な虐待を受けていた事実は、世界のメディアの関心を集め、香港政府が移住家事労働者を適切に保護できていないことを白日の下に晒した。 世界中からこの要請に対してかつてない反響があったことは、この問題に対する社会的関心の高さを示している。それでも香港政府はこれまでのところ、同国の法律に違反していることや加盟する国際協定の義務を果たしていないことに対し、なんの対応もしていない。
家事労働者として香港に来る女性たちは、悪徳な仲介業者や雇用主によって組織的に搾取されている。多くが仕事内容や賃金について騙され、法外な紹介手数料を課され、最低賃金も支払われず、パスポートも取り上げられている。 住み込みが義務であるため、雇用主は虐待犯罪を隠蔽し、労働者は逃げ場がないと思ってしまうことが多い。 さらに、多額の借金、パスポートの押収、失職の不安などで、虐待環境から逃げるに逃げられなくなる。 実際に逃げ出し、窮状を訴えた家事労働者は仕事を失い、多くが未払い賃金を手にすることなく帰国を余儀なくされる。虐待者の告訴もできない。 一方、違法な雇用主や仲介業者が処罰されることはほとんどない。
アムネスティ国際ニュース
2014年4月27日
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