- 2014年8月29日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:死刑廃止
2013年も中国では、他の国すべての死刑執行を合わせた数を上回る死刑執行があった。 © AFP/Getty Images
6年間投獄されていた無実の死刑囚が無罪放免となった。今回の貴重な判決は、死刑廃止の必要性を明確に示す事例だ。死刑は、一歩間違えば無実の人を執行してしまう危険性があるということであり、この危険性は死刑反対の数多くの有力な論拠のひとつとなっている。
福建省の高級人民裁判所は、死刑判決を受けていた福建省福州市平潭県在住の自営業、念斌さんを証拠不十分で無罪とした。
中国の司法制度には多くの不備がある。念斌さんは、なぜ証拠が不十分であるにもかかわらず死刑判決を受けたのか、なぜいつ行われるかわからない死刑執行の恐怖に6年間も耐えなければならなかったのか、申し立ての通り取り調べで拷問を受けていたのか。多くの問題の解明が必要である。
念斌さんは2006年7月、近隣住民6名に毒物を盛り、そのうち子ども2名を殺害した容疑で逮捕された。
2008年2月の初公判以来、第1審、3回の控訴、最高人民法院の再審査、3回の再審が行われた。度重なる再審には、証拠が不十分だという背景があった。
中国ではすべての死刑判決に最高人民法院の再審査が必要とされるが、2010年10月の再審査で最高人民法院は、証拠が不十分で事実関係があいまいだと念斌さんの死刑判決を認めず、再審を命じた。
しかし、福州市中級人民法院は最高人民法院の裁定を聞き入れず、2011年11月2度目の審理で再び死刑判決を言い渡した。
福建省高級人民法院は2013年7月に再審を決定し何度か審理を延長した後、この8月22日、無罪判決を下した。
今回の事件では、最高人民法院がすべての死刑判決を再審査する取り組みが機能し、誤審を回避する結果となった。とはいえ、そもそも福州中級人民法院が上級裁判所による複数回の差し戻しを真摯に受けとめていたならば、念斌さんは、このような長期の裁判と投獄に苦しまずにすんだのである。
アムネスティ国際ニュース
2014年8月22日
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