- 2024年3月29日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:表現の自由
3月19日、香港立法会(議会)で香港基本法第23条に基づき国家安全維持条例が成立した。
この強権的な法律は、香港における人権にさらなる打撃を与えるものだ。当局が法案を瞬く間に成立させたことで、法案の最も危険な側面に市民が声を上げることができるかもしれないという一縷の望みも断たれた。
条例の可決は、香港当局が、人権に関する過去の取り組みよりも、中国政府の意向を必死になって優先させていることを意味する。香港政府は、国家安全保障法制に対する姿勢が香港の国際的義務と相容れないという、国連人権専門家からのこれまで以上に切迫した警告を無視した。
基本法第23条は国家の安全を脅かす行為や活動を禁止する法律を香港政府が制定すると定めており、2003年にも立法化の動きがあったが、抑圧的な法案に反対する何十万人もの抗議活動を受け実現しなかった。今回、法案の成立で自由の一部をまたもや失い、平和的な抗議活動はかつてないほど危険にさらされている。
同時に、アムネスティのような団体が、自分たちの権利を行使するだけで自由を危険にさらし続ける香港の人たちとともに立ち上がることが、非常に重要になった。
アムネスティは、政府や企業から国連やEUに至るまで、香港で影響力を行使できるすべての機関や団体に対し、窮地にある香港人に背を向けるのではなく、人権を尊重し、人権を侵害するすべての法律を撤廃するよう、香港当局への圧力を強めるよう強く求める。
背景情報
3月19日、香港立法会は香港のミニ憲法である基本法第23条に基づく国家安全条例案を全会一致で可決した。
基本法第23条は、国家反逆、分離独立、扇動、中央人民政府転覆、国家機密の窃盗、外国の政治組織・団体による領内での政治活動、領内の政治組織・団体による外国の政治組織・団体との関係構築という7つの行為を禁止する法律の制定を、政府に義務付けている。
アムネスティは、法案審議期間中に34ページに及ぶ提言書を香港政府に提出した。提言の中で、違法行為や捜査権限の変更は、正当な国家安全保障上の必要性に照らして、必要でも適切でもなく、香港の人権義務に反することを指摘した。
この条例には、「外部干渉」というあいまいで幅広い解釈が可能な行為の禁止など多くの問題ある規定が含まれている。外国の活動家との接触で活動家が訴追される可能性もある。
一方、公正な裁判を受ける権利は、16日間の未決勾留や弁護人との面会不許可などの新たな捜査権限により、ますます侵害されることになる。
アムネスティは、すべての政府は自国市民と管轄下にある他のすべての人びとを保護する権限と義務があり、管轄区域によっては特定の安全保障上の懸念もあることを認識している。しかし、だからといって、異なる政治的見解の表明や他の人権を行使する自由が否定されるようなことがあってはならない。これらの人権は、国際人権法や基準によって保護されている。
アムネスティ国際ニュース
2024年3月19日
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