- 2014年8月30日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:リビア
- トピック:
武装グループによる処刑の様子は、動画でインターネット上に公開された。(C)YouTube/Libyan Proud
リビア東部のデルナにあるサッカー場で武装グループが、処刑まがいの殺害を行った衝撃的な動画がインターネット上に公開された。
動画は、一般人が撮影してソーシャルメディアに載せた。処刑を行ったのは、「イスラム青年シューラー評議会」と呼ばれる武装グループだった。
国は機能せず、武装グループによる国際法違反の殺害がまかり通り、リビア市民は想像を絶する恐怖の中で、逃げ場を失っている。
このような「公開処刑」でデルナの人権侵害はさらに深刻化するだろう。住民は国の治安機関に頼ることができず、人権侵害から身を守り保護を求めるすべがない。
動画によると、エジプト人のモハメド・アーメド・モハメドさんは、目隠しをされてトラックに乗せられサッカー場に連れてこられた。ライフルを持った覆面姿の男たちが、モハメドさんをストレッチャーの上に無理やりひざまずかせた。
そして、モハメドさんがリビア人のハーリド・アル=ディルシさんを刺殺したという声明を読み上げた。その中で、「イスラム青年シューラー評議会」の下部機関「紛争解決のための合法的委員会」による尋問で、彼は殺人と窃盗を認めたという。
また、委員会は被害者家族が許さないかぎり処刑を執行すると裁定した。そして、被害者の兄弟らしき男が、モハメドさんの背中に銃口を向け射殺した。
インターネットに投稿された写真には、競技場の観客席には大勢の人びとが殺害を見まもる様子が映っていた。
アムネスティの調べでは、この殺害が行われたのは8月19日であった。
リビアは、2011年の紛争終結以来、デルナの支配権を失った。それ以降、警察も軍隊も存在せず、武装グループによる裁判官への脅迫が繰り返され、昨年6月には裁判所の主席判事が暗殺され、裁判所の機能も停止している。
治安不在の中、さまざまな武装グループが勢力を広げた。2年以上にわたりデルナでは、治安当局、政治家、宗教家、裁判官を狙った殺害が行われている。現在にいたるまで、これらの犯罪に対してまっとうな捜査はされていない。
アムネスティ国際ニュース
2014年8月22日
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