- 2014年9月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
中国では毎年なんらかの警備・治安関連の展示会が開かれている。写真は2009年に開催された、警察装備および対テロ技術・装備の国際展示会の会場で、展示パネルの前を通りすぎる警備員を写したもの。© Feng Li/Getty AFP
中国企業による拷問用器具の生産・取引・輸出が急速に拡大し、その結果、拷問器具の流入先であるアフリカ・アジア諸国の人権侵害はさらに悪化している。アムネスティ・インターナショナルとオメガ(英国の調査会社)の共同調査でわかった。
アムネスティは、その調査をまとめた報告書「中国における拷問器具取引と弾圧」の中で、拷問器具業界の規模は、10年前は28社にすぎなかったが、現在は130社以上を数え、収益も拡大していることを詳述している。これらの企業のほとんどは国営で、治安当局が取り締まりや取り調べで使う可能性がある器具の生産や販売を手がける。
拷問器具業界が勢いづく根っこには、中国国内でデモ弾圧時の恣意的逮捕や拘禁時の拷問・虐待が日常化していることがあげられる。
世界の治安装備マーケットでの存在感も、ますます大きくなっている。
器具を取り扱う企業は、電気ショック棒、鋭利な突起が表面に並んだスパイク棒、おもり付き足枷などを、公然と市販している。いずれもそれ自体が残虐で非人間的であり、即刻取り扱いを禁止すべきものだ。
催涙ガス、プラスチック弾、暴動鎮圧用車両など、治安活動で合法的に使用される機器・装備が、相手が重大な人権侵害を引き起こす恐れが大きい治安機関の場合であっても、輸出されている。
中国はスパイク棒を生産する唯一の国だ。突起が全体的についている金属棒や先端部分に金属突起のついたプラスチック製もある。7つの企業がこの残虐な棒の輸出をおおっぴらに宣伝している。カンボジアやネパール、タイの警察や治安部隊がスパイク棒の取引先であり使用先であると見られる。
電気ショック棒を輸出する29社も公然と取引している。この器具は、性器、喉、股間、耳など体の敏感な部分に電気ショックで強烈な痛みを与える。取り扱いが簡単で、痕跡が残りにくい。
そのうちの1社、中国新興進出口総公司は、40カ国以上のアフリカ諸国に、親指錠、拘束椅子、スタンガンなどの器具を販売し、2012年の売上高は1億米ドルを超えるという。今回の調査で、ガーナ、セネガル、エジプト、マダガスカルの警官が中国製と思われる電気ショック棒を携帯している事実を入手した。
深刻な人権侵害を助長するこうした残虐な拷問用器具の製造・販売は非人道的な行為であり、国際法では全面的に禁止されている。中国当局は、即刻禁止すべきである。
こうした器具の取引は中国だけでなく世界中で野放しの状態で、EUや米国など厳しい規制がある国でも、新製品・新技術の市場投入時には抜け道を許すことがある。規制を見直し、不備を補う努力が必要だ。
アムネスティとオメガは、中国および各国政府に以下のことを強く求める。
- 残虐性が明らかな器具の製造と取引を即座に禁止すること。
- 取引先の治安当局や軍が、入手した器具で重大な人権侵害を犯す恐れがあるときは輸出許可の停止あるいは却下をすること。
- 合法的でも虐待道具になりう治安用装備の輸出を監督する輸出管理基準とその実施方法を定めること。
- すべての拷問や残虐で非人道的、品位を傷つける取扱いと処罰、恣意的な武力行使に終止符をうち、これらの行為に対する申し立てを調査し、加害者を裁くこと。
アムネスティ国際ニュース
2014年9月23日
最新の報告書(2014年9月)
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