- 2014年10月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:オランダ
- トピック:難民と移民
モガディシュにいる国内避難民 (C)Amnesty International
オランダ当局はソマリアからの難民を、イスラム武装グループ、アル・シャバブの支配下にある地域に強制送還をしようとしてきた。しかし、難民が送還されれば深刻な人権侵害を受ける危険性が高い。この試みは、国際法に真っ向から違反するものである。
アル・シャバブの支配下地域は、ソマリアで最も危険だとされている。アル・シャバブによる殺人や拷問などの虐待が頻繁に行われている所もある。
命の危険がある地域に難民を送還すれば、オランダ政府も人権侵害の責を免れない。
国際法では、どの国も人びとを武装紛争など生命や自由が脅かされる地域に送還してはならないと定めている。アムネスティはオランダ政府だけでなく、デンマーク、 スウェーデン、 英国、ノルウェー、サウジアラビアなどの政府にも、ソマリアからの難民を同国南部や中部へ送り返す政策を中止するよう呼びかけてきた。
アムネスティには、ソマリア人が武装グループらにスパイ行為を疑われ、殺害などの報復を受けているという報告が多数寄せられている。多くのソマリア人は、アル・シャバブ支配下の地域だけでなく、モガディシュなど他の武装グループがいる地域に戻ることも恐れている。
モガディシュをはじめとする、ソマリア南部、中央の地域では、人びとが武力紛争、自爆攻撃、手榴弾攻撃、即席爆発装置による攻撃などに巻き込まれ、負傷したり死亡したりする状況が続いている。今年に入ってずっと続けられてきた軍事作戦の結果、民間人への暴力が増加している。
2012年末、オランダ政府は、モガデシュはもはや危険地帯ではないとして、他国に先駆け送還停止の政策を転換した。昨年11月には、20年以上前にソマリアを離れたアーメッド・ セードさん(26歳)を、彼が訪れたこともないモガデシュに強制送還した。
セードさんは3日後に自爆攻撃に巻き込まれて負傷した。この攻撃で少なくとも6人が死亡した。以来、オランダは強制送還を控えていたようだが、再開の動きを強めているとの報告がある。
すべての国には、虐待など重大な人権侵害を受ける恐れのある危険な地域に人びとを送還するのでなく、保護する責任がある。
生命を危険にさらす強制送還は無責任であるだけでなく、国際法への悪質な違反であり責任放棄と見なされる。
国連総長はこの5月、武力紛争から逃れてくるソマリア人難民の救済を行っているすべての国に対し、国際法に従い、難民の生命に危険が及ぶ同国に彼らを強制送還しないよう呼びかけた。
アムネスティ国際ニュース
2014年10月23日
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