- 2015年6月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:台湾
- トピック:死刑廃止
台湾は6月5日、6人に死刑を執行した。4カ所の刑務所で銃殺により処刑された。この執行は、司法の正義ではなく後退である。
1週間前、台北で少女(8才)の惨殺事件があり、市民の激しい怒りが渦巻く中でのことだった。罪のない女生徒の殺害への人びとの怒りは、まったく当然であり、犯人は正当な裁きを受けなければならない。しかし、死刑は論外である。
死刑執行は、怒りを鎮めて市民の支持を得ようとする政府の政治的打算が働いたようだが、今回の件で政治的指導力の欠如が露呈した。
台湾では、死刑の執行は秘密裏に行われ、家族や弁護士に事前に知らされることはほとんどない。昨年、台湾では5人の死刑が執行され、1人の死刑判決が下された。いずれも殺人罪だった。
今回の死刑執行は、台湾政府が掲げた死刑廃止という長期目標に逆行している。政治的道具としての執行をやめ、廃止への第一歩として執行の停止を決断すべきである。
死刑が他の処罰よりも犯罪抑止力があることを示す確たる根拠はない。 死刑と殺人発生率の相関性についての国連の調査では、死刑が終身刑より抑止効果が大きいという根拠は科学的に立証できない、と結論付けた。
世界では、台湾を含む22カ国で死刑の執行があった。20年前は41カ国だった。 今日では140カ国で、法律上または事実上死刑が廃止されている。
アムネスティ・インターナショナルは、犯罪の性質や状況、有罪・無罪、個人の特質、執行手段などにかかわりなく、すべての死刑に例外なく反対する。 死刑は、世界人権宣言に謳われている生存権の侵害である。 残虐、非人道的および品位を傷つける究極の刑罰である。
アムネスティ国際ニュース
2015年6月5日
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