台湾:31年間獄中にいる死刑囚 邱和順さんへの恩赦の要請

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2020年5月 4日
[公開書簡]
国・地域:台湾
トピック:死刑廃止

2020年4月28日

中華民国総統 蔡英文 殿

公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本

事務局長 中川 英明

 

31年間獄中にいる死刑囚 邱和順さんへの恩赦の要請

死刑囚の邱和順さんは、柯洪玉蘭さんを殺害し、陸正さんを誘拐した容疑で1988年に逮捕され、1989年、死刑判決を言い渡されました。

ご本人の話と複数の団体の調べで、邱さんは、勾留中や取り調べ中、何度も殴打され、目隠しされて縛り付けられ、氷の上で正座させられたり、電気ショックを与えられたり、トウガラシ水を口や鼻に注がれたりと数々の暴行を受けたことがわかっています。検察が提出した証拠は、拷問や暴力で強要して得られた自白のみであり、被告に犯行を裏付ける物的証拠は何一つありませんでした。後に、被告に不利だとされる証拠さえ、紛失しています。当初の裁判に問題があったため、最高法院は11回にわたって高等法院に審理のやり直しを命じましたが、高等法院は2011年に死刑判決を再び言い渡しました。

その時、邱さんは、「私は誰も殺していないのに、なぜ裁判官は勇気を出して無罪を言い渡さないのか」と語っていました。第一審で死刑判決を受けてから31年、邱さんはずっと死刑囚として獄中生活を送ってきました。時の経過の中で、法的救済手段はほぼ尽きてしまい、後は、死刑判決が覆るのを待つしかありません。収監されたときは20代の若者が、今や病魔と闘う白髪の老人となっています。

アムネスティ・インターナショナルは、死刑、残虐で非人道的な取り扱い、不公正な裁判にいかなる場合も反対します。司法制度と国家は、あらゆる手段を用いて、人の尊厳と安全を保護すべきです。それゆえ、アムネスティ・インターナショナルは台湾政府に対し、邱さんの恩赦を求めます。

邱和順さんは、すでに31年もの間、収監され続けています。貴殿だけがこの状況に終止符を打つことができます。ご英断をお待ち申し上げます。

※オリジナルの英語版の書簡は、4月28日に提出しています。

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