- 2020年6月26日
- [ブログ]
- 国・地域:台湾
- トピック:性的指向と性自認
© Amnesty International Taiwan
2019年5月24日、台湾で同性婚が認められるようになりました。アジア初の快挙となったこのすばらしいニュースは、日本でも大きく取り上げられたので、ご存じの方も多いかもしれません。
あれから約1年後の2020年5月23日までに、台湾で4,000組以上の同性カップルが結婚しました。台湾での同性婚の成立までの経緯、そして、アジアで初めて同性婚を実現した台湾が、結婚の平等を叶えるための次のステップについて、考えてみたいと思います。
同性婚実現までの道のり
アジア初の同性婚を実現した台湾ですが、もともと同性愛に寛容だったわけではありませんでした。「同性婚は、家族を破壊する」という考えをもつ人が、たくさんいたのです。台湾のLGBTIの人たち、そして活動家たちは、そのような偏見や差別と闘いながら、20年以上にもわたり、同性婚の実現を訴え続けてきました。特に2020年代に入ってからは、同性婚を求める声が高まっていきます。
同性婚を求める多くの人たちの声が届き、2017年5月、台湾の最高裁判所は、同性カップルに結婚の権利が認められないのは違憲であるとの判断を下し、2年以内の法改正を求めました。合法化への道を開く、歴史的な出来事となりました。
反対派による抵抗
しかしその後も、同性婚に反対する人たちの抵抗は続きました。それまでの台湾には、同性婚を想定した法律がなかったため、同性婚を実現するためには、民法を改正するか、新しい法律をつくるかを選択しなければなりませんでした。そこで、2018年11月に国民投票でそれぞれについて是非が問われることになりました。同性婚賛成派は、民法の婚姻規定で認められるよう改正を望み、民法の婚姻を男女に限定したい反対派は、別の法律で規定すべきと主張。結果は、民法改正が反対多数となり、同性婚は、特別法をつくることで実現されることになりました。
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結婚の平等に向けて
アジアで初めて同性婚が実現したことは、台湾の同性カップルはもちろんのこと、日本に住む多くの人たちにとっても、希望を感じる出来事でした。しかしながら、まだ課題も残されています。
例えば、現在の法律では、同性カップルが養子を受け入れる場合、どちらかのパートナーの実子でなければ法的に認めらないという制限があります。異性婚の夫婦であれば、血縁関係がなくても養子を受け入れることができるのに、同性婚の夫婦には認められないのは、平等なルールとはいえません。
また、同性パートナーが外国人の場合、外国人パートナーの母国が同性婚を認めている国でなければ、台湾で同性婚ができません。たとえば、台湾人と日本人の同性カップルの場合、日本ではいまだに同性婚ができないため、台湾で結婚することができないのです。同性婚が合法化されて1年が経った今でも、多くの同性カップルが結婚できずにいる事実に対し、同性婚と異性婚の「結婚の平等」が実現されるまで、声を上げ続けなければなりません。
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