- 2020年4月 7日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:台湾
- トピック:死刑廃止
台湾で4月1日、死刑執行があった。蔡英文総統下での2回目の死刑執行である。
同じ日、台湾は、新型コロナウイルスの感染が拡大する欧州や米国に1千万枚のマスクを送り、国際社会の賛辞を受けたが、そもそもマスク支援は、死刑執行の事実を包み隠すためではなかったのかという皮肉った見方もできる。
4月3日午後9時、銃で処刑されたのは、翁仁賢さん(53才)で、2016年の春節の大晦日、親族の集まりに放火し、6人を死亡させ、昨年2月に死刑判決が確定した。精神鑑定では、被告は社会から孤立し、人とのやりとりに難があると診断された。
この事件について、行政院長は「翁の行為は、全く容認できない重大犯罪で、市民的・政治的権利に関する国際規約(ICCPR)第6条に該当する」と述べた。同じ第6条は、死刑廃止の遅滞あるいは妨害にこの条項を引用することを禁じている。
台湾政府が死刑を廃止する方針だと言っておきながら処刑を継続しているのは、非常に残念である。
この3月、世間が注目する殺人事件があり、死刑廃止を批判する声が沸き起こった。台湾死刑廃止連盟(TAEDP)は、インターネット上で多くの嫌がらせを受けた。
今回の死刑執行は、この殺人事件を意識した対応だと思われる。
台湾政府は、死刑問題を教育や対話の場であまり取り上げてこなかった。その結果、人権NGOや死刑に消極的な犠牲者家族が、インターネット上で嫌がらせを受ける事態が生まれていると言える。
死刑廃止に向けた明確な戦略と計画がなければ、死刑廃止の動きへの進展は期待できない。政府は、人権教育を推進し、異なる考え方を持つ人びとの間の対話を積極的に進めていくべきである。
死刑支持論が多くても、犯罪の防止に繋がってこなかったのが現実である。死刑不支持に対する嫌がらせは、表現や行動の自由を奪うことでもある。
死刑は、残虐、非人道的および品位を傷つける究極の刑罰である。アムネスティは、犯罪者の特質、犯罪の種類、有罪・無罪、死刑執行方法などに関わらず、いかなる死刑にも反対する。
アムネスティは、台湾政府に対し死刑の完全廃止に向けた第一歩として、死刑執行の停止を引き続き求める。
アムネスティ国際ニュース
2020年4月2日
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