- 2015年6月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:死刑廃止
ルイジアナ州で不当な裁判で殺人罪の実刑を言い渡され、43年間独居房で過ごしてきたアルバート・ウッドフォックスさん(68才)が間もなく釈放される。長く待ち望んでいた勝利である。
ウッドフォックスさんは、長期の収監中、刑務所内で耐えがたいほどの過酷な仕打ちを受けてきたが、ひたすら無実を訴え、有罪判決を覆すために闘ってきた。
2度の不公正な裁判と、数十年に及ぶ控訴審の結果、有罪判決は、連邦裁判所と州裁判所の双方で覆され、アルバートさんはついに当然受けるべき自由を手にすることになった。
劇的な展開だった。判事が6月8日、即時釈放を命じ、再審を禁ずる無条件の令状を発行したのだ。
1972年、ウッドフォックスさんは、刑務所内で看守を殺害したとして、もう一人の被告、ウォレスさんとともに有罪判決を受けた。ウッドフォックスさんは、ほぼ43年間、刑務所の狭い独房に1日23時間閉じ込められ、他の囚人とのやり取りも更生プログラムへの参加も禁じられていた。
今は亡きウォレスさんも同様の扱いを受けていた。2人とも終始一貫、無実を主張し、刑務所内でブラック・パンサー党のメンバーとして政治活動をしていたために殺人容疑を着せられたと語っていた。
2人が殺人を犯したとする物的証拠は何もなく、別の囚人のあやふやな証言などで有罪となった。証言した囚人は、見返りに優遇措置を受けていた。
嘘の証言で始まった裁判は、その後の何年にもわたった審理は、さまざまな瑕疵に満ちていた。
ウッドフォックスさんに対する有罪判決は、直近の2013年も含め3度覆されたが、その都度ルイジアナ州が控訴したため、釈放されなかった。
判事は、1998年の裁判において大陪審の陪審員長の人選に差別があり、公正な裁判が行われなかったと裁定した。連邦裁判所の判事が自身の有罪判決を覆した理由は、1974年の裁判において、組織的な動きで大陪審員から女性が排除されていた点にあった。
共に被告人として闘ってきたウォレスさんは、2013年10月に釈放されたが、その数日後、肝臓がんのため亡くなった。
アムネスティ国際ニュース
2015年6月9日
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