- 2015年10月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中央アフリカ
- トピック:企業の社会的責任
中央アフリカ共和国のダイヤモンド業界の大手業者は、数百万ドル相当のダイヤを仕入れてきた。しかし、彼らは、支払った金が、超法規的処刑、強かん、拉致、略奪をはたらいている武装集団へ流れているか否かを十分に調べていない。
アムネスティは、「虐待の連鎖:ダイヤモンドのサプライチェーンと中央アフリカ共和国のケース」と題する報告書の中で、ダイヤ業界で起きている数多くの人権侵害を訴えている。武装集団の資金源という面だけでなく、児童労働や課税権乱用も取り上げた。
同国のダイヤ業者は、紛争中にため込んだダイヤの輸出をすぐにでも始められる。2013年5月に課された輸出禁止措置は、紛争ダイヤの国際取引を防止するための認証制度キンバリー・プロセスが2015年7月に定めた諸条件を政府が満たせば、部分的に解除される。紛争以前は、ダイヤは同国の輸出の半分を占めていた。
もし紛争ダイヤを購入したとしても、業者はそれで利益を上げてはならない。国は紛争ダイヤを没収して販売し、得た収益を市民のために使うべきだ。市民は、自国の天然資源から利益を得る権利がある。国の再建に当たり、ダイヤは自然の恵みだ。呪いとすべきではない。
報告書は、鉱夫と取引業者への取材をもとに、キリスト教徒と精霊信仰者の武装集団アンチ・バラカとイスラム教徒主体の武装集団セレカの両者がどのようにして鉱区を支配し、「税金」という名で用心棒代を鉱夫と業者からせしめて利益を得ているかを描いている。
デュー・デリジェンスができていない業者
中央アフリカ共和国のダイヤ買い付け最大手ソディアム社は、紛争期に700万ドル相当の6万カラットものダイヤを備蓄し、今もダイヤを購入しているが、それがアンチ・バラカへの資金源となっている恐れが十分にある。
すでに国連は、同国第2位の業者バディカと姉妹会社、ベルギーのカルディアム社を、セレカ支配下の同国東部から買い付けや密輸をしているとして、ブラックリストに載せている。
報告書には、同国西部でアンチ・バラカが取り引きに深く関わっていることを明らかにしている。アムネスティが聞き取りをした業者は、アンチ・バラカの関与は知っているものの、誰一人として武装集団に資金を提供したかもしれないダイヤを積極的に排除する気配はなかった。
ソディアム社は、紛争ダイヤの購入を否定している。武装グループからも、武装グループと関係がある業者からも買っていないと主張した。しかしアムネスティは、同社のデュー・デリジェンスを疑う。
ソディアム社や他の輸出業者の取引が武装集団の資金源となっていないことを証明できなければ、政府はダイヤを没収するよう、アムネスティは要望する。
国際ダイヤ業者はキンバリー・プロセスの不備に対応すべき
来年3月に宝飾業界のサミットが開かれ、ダイヤモンド業界が責任ある買い付けを討議することになっているが、アムネスティは各国政府とデビアスやシグネットなどの国際的なダイヤ企業に対し、ダイヤ業界に一層厳しい規制をかけるよう働きかける。キンバリー・プロセスが求める紛争の観点だけでなく、児童労働など他の人権侵害にも目を向けるべきだ。
これはダイヤ業界への警告だ。国も企業もキンバリー・プロセスを隠れ蓑にして、消費者にダイヤの産地が倫理的に適っていることを保証することはできない。
アムネスティ国際ニュース
2015年9月30日
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