- 2017年1月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中央アフリカ
- トピック:地域紛争
中央アフリカ共和国では、司法制度が機能せず、内戦中に殺人や強かんなどの戦争犯罪の容疑者が捜査や逮捕を逃れている。時には、犠牲者の身近なところで生活している場合すらある。アムネスティ・インターナショナルの調査で分かった。
アムネスティは同調査の報告書の中で、司法制度の再建と加害者を裁く特別刑事裁判所の設置などに関し、国連などに十分な投資を求めている。
これまで司法が無力であるため、国際法上の犯罪容疑者が何十人も、捜査や逮捕を免れてきた。同国政府と国連平和維持部隊の双方の能力不足で、責任を追及できなかったのだ。
中央アフリカの司法制度は、以前から心許なかったが、紛争で裁判関係の文書が破壊され、司法関係者が逃れざるを得なくなったため、さらに弱体化した。裁判所が機能するのは首都バンギだけで、首都以外では、全国にある35刑務所のうち稼働しているのは8カ所のみである。被収容者は、崩れかかった刑務所に押し込まれ、中は不潔極まりない。警備が不備なため、脱獄が後を絶たない。
2016年11月、ブリュッセルで開催された支援国会合で提示された復興と平和構築計画では、同国の司法制度強化と特別刑事裁判所の運用に、5年間で1億500万米ドルの拠出が要請されている。
「容疑者が犠牲者と隣り合わせで生活している」と現地の市民団体はアムネスティに語った。「同じタクシーを使い、同じ店で買い物をし、近所に住んでいる。誰も逮捕されていないし、起訴もされていない。罰せられない風潮が、犯罪者をのさばらせている」
中央アフリカの国連平和維持部隊は、2014年9月から2016年10月にかけ、紛争にからむ犯罪で384人を逮捕した。しかし、これは特に重大な犯罪を行った一握りの容疑者にしかすぎない。一方で、2015年9月には130人が脱獄する事件があった。
多くが罪を逃れていることは、昨年9月以後の暴力増加の一因でもある。10月のカガバンドロでの襲撃では、武装グループ、セレカの元戦闘員たちにより、少なくとも37人の民間人が殺され、60人以上が負傷を負い、2万人以上が家を追われた。
特別刑事裁判所に関する提言
この数カ月、特別刑事裁判所の設立に向けて重要な進展が見られた。同裁判所は、国内外の判事と職員からなる「ハイブリッド(混成)」法廷で、紛争中に行われた国際法上の犯罪の容疑者を裁く。
アムネスティは、実効性のある捜査が進み、公正な裁判が行われるために、できる限り速やかに同裁判所が設置されるよう、いつくかの提言をしている。
立ち上げから14カ月の間に必要とされる運用資金700万ドルのうち、500万ドルは確保された。資金拠出国は、現在・今後の人材確保においても適任の裁判官や法律業務職員の選抜を支援すべきだ。
また、被害者と証人が身の危険を感じることなく、審理に協力するためには、彼らの安全を保障する取り組みが極めて重要である。あまりにも長い間、同国の戦争犯罪を野放しにしてきた恐怖の風土に、いまこそ終止符を打つときだ。
アムネスティ国際ニュース
2017年1月11日
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