中央アフリカ:襲撃に国連部隊退散、住民100人死亡

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2018年12月27日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:中央アフリカ
トピック:

中部の都市アリンダオで11月15日、国内避難民キャンプが襲撃され、避難民およそ100人が殺害されるという事態が起きた。治安維持の任務を負った平和維持軍は、住民を守るどころか退却して基地にもどってしまった。なぜ国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)の平和維持要員は退却したのか、国連は徹底した調査を実施すべきである。

襲撃したのは、セレカ系武装組織で、追撃砲や手りゅう弾などの本格的な武器で襲いかかった。女性、子ども、老人、障がい者など100人にのぼる死者を出し、18,000人がキャンプから避難する事態となった。

アムネスティは、難を逃れた避難民20人から話を聞きたが、彼らの多くが、平和維持部隊は、武装組織と交戦するどころか、住民を保護することもなく退散し、基地に戻ったという。

なぜ、国連の部隊が、民間人の保護という重大な任務を放棄したのか。武装組織より兵力面で劣っていたとしても、何らかの対応は可能だったはずである。今後、部隊が同様の失態を繰り返さないようにするために、MINUSCAで何ができるか、しっかりと検討する必要がある。

MINUSCAの平和維持活動は長年、同国の国内避難民を保護する役割を果たし、それなりの存在感を示してきた。ところが、キャンプ住民の話では、今年5月にモーリタニアから来た要員が配属されてから、パトロールがなくなり、治安管理は滞り、武器の流入や武装組織の出入りが許されていたという。また、日常任務の多くが、アンチバラカ(セレカと対立する武装組織)に委託されていた。

MINUSCAの担当者は、「アンチバラカにキャンプン内での活動を認めた事実はないが、キャンプは広大なため、いきとどいた管理は難しい」と語った。実際、隊員たちは、アンチバラカがキャンプ内にいることを知っていただけでなく、アンチバラカの治安活動を認めていた節がある。だから、退却したのではないだろうか。

国連は、部隊が取った行動に対して、第三者による徹底した調査を行うべきである。そして、その報告内容を公表し、報告者の勧告を今後の行動につなげなければならない。加えて、キャンプ地周辺は武力衝突が起こるリスクが高いため、適切な要員を配し、十分な装備を与えた上で、パトロールをさせなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2018年12月14日

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