リビア:戦闘拡大でベンガジ市民が苦境に

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2016年10月 6日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:リビア
トピック:

数か月にわたり軍に封鎖されているベンガジ近郊で戦闘が激化し、数百人の住民は不安を募らせている。

ベンガジ南西に位置するガンフォウダという住宅地では、リビア人130家族と外国籍の住人数百人が数カ月も閉じ込められている。アムネスティは、一部の人たちから聞き取り調査を行った。戦闘により、また国軍により、当地区に通じるすべての道路が封鎖されており、食糧、水、電気の供給が止まっている。

空爆が激化し、戦闘の前線がかつてないほどに近づくにつれて、住民は恐怖の中、自宅を離れられなくなっている。アムネスティは、戦闘に加わるすべての組織に、国際人道法を尊重し、市民が自由に支援物資を受けとれるようにすることを求める。

2014年中頃に、ハリファ・ハフタル元リビア軍司令官がベンガジのイスラム民兵と武装グループ(のちにベンガジ革命シューラ評議会(SCBR)として知られる連合軍を結成)に対し、「尊厳作戦」と名付けた掃討作戦を開始した。市街戦では、両陣営が重大な人権侵害や国際人道法違反を犯した。その中には、戦争犯罪に当たる行為もあった。

ガンフォウダの住民の一人は、「過去数週間で空爆と砲撃が激化し、住宅街に迫っている」と語った。また、「援助物資が、特に子どもに、今すぐ必要だ」と訴えた。その男性によれば、無差別の砲撃が絶えず行われ、停電が2年以上も続き、家族は暗闇の部屋で身を寄せ合っているという。「まるで牢獄のようだ」という。

住民は最低限必要な物資やサービスがなく、空爆と砲撃の恐怖の中で暮らしている。

幼な子4人を抱える女性は、「空爆が絶えないので、家から一歩も出られない」と話した。娘用のベビーパウダーも薬もないし、また清潔な水がないことが深刻な問題になっている。

どちらの陣営であるかにかかわらず、すべての紛争当事者は国際人道法に沿って、地域を問わず身動きが取れない住民を保護するあらゆる手段をとらなければならない。

アムネスティは、武装グループ、アンサール・アル=シャリーアには2014年に誘拐された推定130人の捕虜が今回の戦闘で閉じ込められていることについて懸念を表明した。報道によると、空爆により約20人の捕虜が犠牲になったという。

ガンフォウダには、数百人の外国人も閉じ込められているとみられる。報道によると、8月中旬の空爆で少なくとも5人のスーダン人が死亡した。

また、妻と息子3人、1歳の娘のいる住人は、「まるで獣のような暮らしをしている」と語った。彼は、3家族も自宅に受け入れており、24人で一つの家屋に住んでいる。

市民たちはまた、自分たちがSCBR軍支持とみられて攻撃対象になるのではないかと恐れている。尊厳作戦に参加する部族のリーダーが8月末に「14才以上の住民は、生きて市外に出られない」と言ったからだ。

両陣営とも、救援物資の搬送が円滑に行われるようにすべきで、市外に出たい市民には安全に道を開けるべきだ。市民を人間の盾として使ってはならないし、移動希望者を恣意的な拘禁、嫌がらせや拷問から保護しなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2016年9月30日

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