キューバ:カストロが残した正と負の遺産

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2016年11月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:キューバ
トピック:

キューバのフィデル・カストロ氏が逝去した。在任中、市民が公共サービスを利用できるようになったのは、同氏の大きな功績だが、一方で自由など基本的な権利が抑圧され続けた。

同氏ほど極端なアメとムチを使い分けた指導者はいない。進歩的だが問題も大きかった。

1959年のキューバ革命で政権を獲得したカストロ氏は、保健衛生や住宅など権利を市民が行使できるよう、劇的な改革を断行した。比類のない推進力で改革を推し進め、市民の識字率を向上させた。

その指導力は、称賛に値する。しかしながら、同氏の統治には激しい抑圧が付きまとった。

アムネスティは何年にもわたり、同国の政策や手法に抗議する声を上げ、表現・結社・集会の自由の権利を行使しただけで、拘束された何百人もの事例を報告してきた。

当局の抑圧手段はここ数年で変化し、政治的な思惑による長期の実刑は減少した。しかし、現在はその手段が変化し、短期間の拘束や執拗な嫌がらせが増加してきた。狙われるのは、人権擁護の声を上げたり、身内の恣意的逮捕に抗議したりする人たちだ。

キューバでは依然として、インターネットを自由に使えない。全人口の25%だけがネットを利用でき、家庭でネットに接続できるのは、わずか5%だ。

カストロ氏は、1959年の暫定政権の樹立後、前政権幹部を裁判にかけ、数百人を即決で処刑した。各国の激しい非難や多くの裁判を不公正だとする指摘に対し、同氏は次のようにコメントした。

「革命の正義は、法的な判断ではなく、道徳的な信念に基づくものだ。われわれは、無実の人や政敵を処刑しているのではない。殺人者を処刑しているのであり、彼らには当然の報いだ」

キューバは、重罪に対する死刑を存置しているが、カストロ氏の統治のもとでは、死刑の適用は減った。

キューバは今後人権をどうするのか、現在問われている。多くの人命がそこにかかっている。

アムネスティ国際ニュース
2016年11月26日

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