マレーシア:難民船沈没 ロヒンギャの苦境が浮き彫りに

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2025年11月12日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:マレーシア
トピック:先住民族/少数民族

マレーシア沖で難民・移民を乗せた船が沈没し死者が出た。東南アジア海域で起きたこの悲劇は、ミャンマーでの紛争と迫害から逃れようとするロヒンギャの人たちが直面する命の危険とバングラデシュの難民キャンプでの状況の悪化を、あらためて浮き彫りにしている。

マレーシア沖で沈没した船に乗っていた人びとは、故郷のラカイン州で急速に悪化する状況と、バングラデシュのコックスバザールの難民キャンプの両方から逃れてきた。キャンプは過密なうえに支援不足に陥っている。

ミャンマーでは、ロヒンギャの民間人は、ミャンマーの軍事政権とアラカン軍との紛争が続く中、食糧不足、強制労働、恣意的拘禁、移動の制限に直面している。そしてさらに多くのロヒンギャがバングラデシュの難民キャンプに追いやられている。その難民キャンプでは、米国の対外援助削減により住居、教育サービス、支援物資が不足し、状況がひっ迫している。そのためロヒンギャの人びとは、危険を冒しても船で逃れるという選択肢を迫られている。

マレーシア政府とタイ政府は、この悲劇の被害者に対する包括的な捜索救助活動を組織し人道支援を提供するとともに、ミャンマーへの強制送還から保護しなければならない。

国境から船を追い返すという非人道的な慣行を直ちに中止し、地域各国政府は難民・移民を乗せた船舶が最寄りの国に安全に上陸できるよう保証すべきだ。ASEAN首脳は、ロヒンギャの人びとが船で逃げざるを得ないという長年の課題、そしてミャンマーでの紛争が続いている件に、断固として対処しなければならない。

背景情報

タイとマレーシアの国境付近で、約70人の移民・難民を乗せた船が沈没し、少なくとも11人が死亡したと報じられている。

マレーシア当局によると、船に乗っていたのは、当初は大型船に乗っていたロヒンギャを中心とした約300人から分かれた人たちだ。ミャンマーかバングラデシュのどちらを出発したかは現時点で不明だ。

ラカイン州の民間人は、ミャンマー軍とアラカン軍との武力衝突に巻き込まれている。この衝突により人道支援物資が行届かなくなっている。また、無差別攻撃で犠牲者が出ている。アムネスティなどの団体は、ラカイン州北部の大部分を支配するアラカン軍による国際人道法違反行為や民間人への人権侵害の増加を把握している。

数十万人のロヒンギャが国内避難民となっており、2023年末以降には15万人以上のロヒンギャの人びとが国境を越えてバングラデシュのキャンプへ逃れている。難民の総数は推定120万人に達する。

マレーシアはミャンマーからの船を押し戻している。2025年1月、同国の当局はミャンマーから約300人の非正規移民を乗せた2隻の船を領海外に追いやったと発表した。

アムネスティ国際ニュース
2025年11月10日

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