- 2018年11月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イラン
- トピック:
イラン当局は最近、フーゼスタン州各地のアラブ系住民に対する弾圧を強化し、これまでに数百人を拘束した。拘束されたのは、同州をはじめとして主にイラン南西部に住む少数民族で、これまでも差別や迫害を受けてきた。
事の発端は武装集団による襲撃だった。9月22日、州都アフワズの軍事パレードで武装集団による襲撃があり、見物人ら24人が死亡、60人以上が負傷した。4人の襲撃犯はその場で射殺され、襲撃の関係者22人が逮捕された。その後、複数のグループが犯行声明を出したが、その中には、アラブ分離派を主張するグループも入っていた。
アラブ系住民の拘束は、その直後からフーゼスタン州の都市や町、村で始まった。当局は、フーゼスタン州の反体制派を掃討する名目で、彼らの拘束に乗り出したものと言える。
州知事は、被拘束者には活動家はいないということだったが、信頼できる情報では、学生、市民、少数民族の権利活動家などが含まれているという。拘束された人たちの中には、政治的な権利やマイノリティの権利を擁護する活動をしている人たちもいる。
アムネスティの調べでは、これまでに178人が拘束されたことがわかっている。実際には、600人近くが拘束されているとも言われている。
アムネスティが入手した事例では、市民活動家が自宅にいたところを突然拘束され、当日には家族に電話があったが、その後連絡が途絶えたという。
また、市民運動に携わる複数のアラブ系住民が、それぞれの子どもを拘束され、その後、自身も逮捕された。1週間後、諜報省内で拘束されているという電話連絡が家族にあったが、それ以降、連絡は取れない。他にも、裁判所に出向き行方不明になった子どものことを相談したところ、その場で拘束された人もいる。
拘束時、容疑も逮捕状もなく、勾留場所も明かされない。勾留中、家族や弁護士が面会することもできず、虐待や拷問を受けているおそれもある。
少数民族であるアラブ系住民は、教育、雇用、住宅などで差別を受け、自分たちの言語を学び、使い、広める自由がないことに抗議してきた。今回の一連の弾圧で、アラブ系社会の動揺は深刻だ。
表現の自由などの権利を行使したにすぎない人たちの拘束は不当であり、即時、無条件で釈放すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2018年11月2日
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