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スリランカ:爆破事件後 迫害される難民

2019年5月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:スリランカ
トピック:難民と移民

スリランカ政府は、4月21日に多数が犠牲になった爆破事件後、暴徒に自宅を追われたパキスタンやアフガニスタンなどからの難民・庇護希望者1,100人以上の人々に対し、安全で落ち着ける避難場所、食料、医療などを提供しなければならない。

イスラム教徒への襲撃が多発し、不安を募らせる難民らは、劣悪な避難施設で悲嘆の日々を送る。提供された公民館や警察署は、手狭で寝るスペースの確保もままならず、衛生施設も整っていない。不衛生な環境で病人が増える中、対応する医師や施設にも事欠く。

キリスト教のイースター(復活祭)にあたる4月21日、教会3カ所とホテル3軒が狙われ、250人以上が亡くなった。事件に反発した群衆の怒りの矛先が、難民や庇護希望者に向かった。その多くが、アフガニスタンやパキスタンでのイスラム教少数派の人たちや、パキスタンで少数派のキリスト教徒で、迫害を受けて難民となり、スリランカに落ち着いた。これまでは、穏やかな生活を送って来たが、爆破事件で様相は一変した。

爆破事件が引き金

難民・庇護希望者への襲撃は、爆破事件の翌日に始まった。事件の背後にパキスタン人がいるという噂が一部で広がった。武器を手にした若者たちが、難民らが住む家々を回り、「パキスタン人は2時間以内で出て行け」などと叫び、立ち退きを迫った。「(事件の犠牲者と同じ)キリスト教徒だ」と言っても、問答無用だった。

4月25日には、難民らが避難する公民館などの周辺に数百人が群がり罵声を浴びせながら、石を投げつけた。暴徒の中には、仏教僧もいた。

難民らは終日、避難する施設からの外出を控えたが、恐怖心が募り、スリランカにいることにも不安を抱くようになる人もいた。

国連難民機関は彼らの一部を国内の別の場所に移そうとしたが、警察や僧侶、市民らに阻まれて、断念した。避難所を提供しようという教会もあったが、これも同様の抵抗を受けた。

劣悪な避難所

難民・庇護希望者を収容する施設は、受け入れた人数に対してあまりに狭い。固い床に薄いプラスチックシートや布を敷いた上に雑魚寝せざるを得ない。施設内は不衛生で、入所者は、発熱、感染、下痢などに悩まされている。しかし、周辺に対応できる医療施設はない。

プライバシーがないことは、女性にはさらに深刻な問題だ。

風呂やトイレ、洗面所も男女共用だ。避難した難民の中に少なくとも15人の妊婦がいる。その1人は助産婦が間に合わず、何の知識もない周囲の女性たちの必死の介助で子どもを産んだ。周囲から隠れて授乳する場所もない。

夜間は、屋外で寝なければならず、日よけを使って見ず知らずの男たちから身を隠すようにして寝る。日中でも、周りで男たちが行き交い、プライバシーを確保できない。

イスラム教徒女性の中には、ニカブ(顔を覆うベール)が禁止されるのではないかと心配する声も出ている。

提言

市民らからこれほどの迫害を受けても、多くの難民は、自分たちはスリランカ人であり、爆破事件の犠牲者や被害者の気持ちに寄り添いたいと考えている。「これまで受けた支援に感謝している。寛容の精神を育みながら、平和な社会を共に築いていきたい」と話すアフガニスタン人もいた。

スリランカ政府に対して

  • 難民・庇護希望者の安全確保に全力を尽くすこと。
  • 一時的にでも食事、衛生、医療面で配慮した場所に移すこと。特に女性には十分な配慮が必要である。
  • 彼らを母国へ送還してはならない。

難民高等弁務官事務所に対して

  • 難民・庇護希望者が危険な状況にあることに特段の配慮を与え、彼らの再定住手続きを強化すること。
  • その対応に必要な通訳者を含む必要な人材を現地に配属すること。

国際社会に対して

  • スリランカにいる難民の自国での受け入れを拡大すること。
  • 就学ビザや労働ビザほか、あらゆる可能性を検討すること。

ここで提言しているのは、わずか1,000人あまりの難民への対応である。難民らが、人としての尊厳を維持し、安心して暮らせる場所の提供は、それほど難しいことではない。一方、スリランカ政府と国連、国際社会が行動を起こさなければ、いずれ人道面で悲劇を生むおそれがある。それは、スリランカの汚点にもある。

アムネスティ国際ニュース
2019年5月16日

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